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第百六十二話 地獄の味とナリク

炎によって巻き起こる暴風にて、繊細な魔法を駆使することで地面へ100点満点のように着地成功する。途中、空中で何かが飛んでいたような感覚があったがあまりよく見えなかった。両手を空けたアリミナールは、また歩き出す。


ふぅ~。今日はもしかして厄日というやつかな。急いでいる時に限って邪魔ばかりはいる。


逃げたことで一安心しているのもつかの間、誰かがこちらに走ってくる姿が見えた。


すぐに誰か理解した。なんせ自分にとっては推しキャラだからだ。こんなの、偶然じゃ片付けられない!もうこうなったら、真っ正面から受けて立つ!あ、なんかバトル漫画みたい!


「おい!大丈夫なのかっ!?」

走ってやってきたナリクは、どうやら心配してくれている?


「人が落ちてきたから!お前だったのか?」

そうだと示すために1回頷く。

「怪我はないみたいだな。」

そうだと示すために1回頷く。

よく見ると、ナリクの手にはいくつかのカップケーキが握られていた。

そこで気づいた、自分の手を確認するために目の前に両手を出した。わきわきと手を動かす。


あれ?私の物がないぞ?どこにいった?さっきまで持っていたのに・・・。


「手を怪我したのか!?」

手を動かしていたため、勘違いされた。なので、ぶんぶんと首を振る。

「おい!俺が言ったこととは言え、少しくらい自分の口で答えろ!何考えているかわからないんだよっ。」

すでに私の耳には、ナリクの言葉は聞こえなかった。


まずいな。不味いけど。どうしようかな。今回のあれは・・・。


「おい!」

「え?」

「な、なんかあったのか?」

「な、何もっ。」

「嘘つくの下手くそか!」

「え、だって・・・。」

「しょうがないから、聞くだけ聞いてやる!」


怒っているのに優しい!可愛い!でも、どうしよう。いや、このままにするほうがまずいよな。


「落とし物をしてしまったみたいで・・。」

「じゃあ、とっとと探すぞ。時間がもったいない。」

「あ、ありがとうございます。」


嫌そうな顔をしながらも、ナリクは一緒に探してくれた。落ちた位置もはっきりしているため、茂みの方を探すと意外とすぐにカップケーキを見つけることが出来た。


「あっ!ナリク君ありました!」

「そ、そうか。良かったな。」

「はい。ありがとうございました!」

そう言って私はナリクに背を向ける。

「おい!待て、それってお前が作ったやつじゃないのか?」

振り返ると、ナリクがこちらを見ている。


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