第十五話 回避できないルート
「アリー!あいつおかしいんだ、アリーに会いたいってしつこくて。理由聞いたら、動いてることを確かめたいとか変なこと言ってるんだ。」
ケインは早口になりながら息を荒げる。
「ケイン様、さすがにもう1か月も同じことを頼みこまれたら、了承するほかないと思われます。」
困った顔でアリミナールは答える。
「だって・・・。アリーはあいつと結婚する気なの?」
ケインはオロオロと落ち着かない様子だ。
「ケイン様?私が了承したのは、ガイ様とお会いすることだけです。」
「そっか。そうだよね。ガイっていいやつだけど、好きになったら嫌だからね?」
「もし、ガイ様と婚約者になる未来があるのなら、それはお父さまが勝手に決めてしまう未来ですわ。私にはなにもできません。」
少し諦めたような、アリミナールの表情がそこにはあった。
「兄さまと要相談ですね。」
難しい顔をしたケインは、また後日連絡すると言い残して帰っていった。
「アリミナール、どうやらガイ様を止めることは難しいようだ。」
「でしょうね。」
グランとアリミナールが屋敷にて話している。使用人たちも慣れてきたのか、王子たちが来る際は迷いなくアリミナールの元へ案内し、ティーセットもアリミナール自身がやるため下がってよいと言われている。
「私とガイ様に接点があることは、私が見たこの先の未来にはありません。拒否する必要はないと思いますが。ダメですか?」
「アリミナール・・。僕は心配なんです。」
「心配とは?」
「今後のためにも、【こうりゃくたいしょうしゃ】?なるものに会うのは危険だと思っています。これからもきっと、避けられない運命とやらがアリミナールを襲ってくることが、怖くて仕方ありません。」
「グラン様・・お優しいのですね。ですが、心配は無用です。私とガイ様が二人でいても、会話は成り立たないと思いますよ?」
友達にはならないと強情な私を、ここまで心配してくれるグラン王子って、本当に優しいんだなとアリミナールは思っていた。
「・・・誰が二人でお話させるといいましたか?」
グラン様の冷ややかな笑顔ほど怖いものはないのかもしれない。今後の言動には注意しようと心に誓ったアリミナールである。
「どうしてガイ様はアリミナールに会いたがっているんだろうね?」
紅茶を一口飲んだグランはそんなことを呟いた。
それはグランやケインにもいいたいと思ったアリミナールであった。