第百四十八話 お助けキャラには申し訳ないけど
リリーダのお弁当イベントといえば、グラン・アンジャードルタと相場は決まっている。アリミナールの予想通りに、リリーダの元にグランらしき人物が近づいてきたのがわかった。隣にいるクローは、あの人物をリリーダと理解しているのか不明であるが、付いてきてしまったものは仕方ないとアリミナールは考えていた。
「あ、飲み物も入っていたな。いるか?」
アリミナールの緊張感をなくすような軽い質問に、何も言わずその飲み物をクローから受け取った。
クローは、攻略対象者としての自覚あるのか?いや、知らないんだからあるわけないか。
受け取った飲み物を飲みながら、アリミナールはリリーダとグランの動向を遠くから眺めていた。窓際に腕を置いて、パンと飲み物を食しているお嬢様は他にいないだろう。
しばらくした時に、今度はケインらしき人物が現れた。
あれ?なんでケインも登場なんだろう?やっぱりゲームってわからないなぁ~。選んだ言葉の選択肢で変化でもあったのかな~。
アリミナールが揚げ物と、パンを食べ終えた時だった。
「あ、これ苦手なんだよな、食べてくれ。」
そう言ったクローが新しい謎のパンを渡してきた。そのまま受けとり、パクリと食べる。美味しいと思ったアリミナールがそのまま食べ進める。
その姿を見てクローは小さく笑う。
「同じ教室だと得だよな。」
クローが突然にそんなことを言い出した。
それって!そうか、まさかケインに嫉妬しているのかな?確かにリリーダと同じクラスなのはケインだけ。だから、ここに付いてきちゃダメだって言ったのに!しょうがないな、今度はクロー君のお手伝いに回ってあげるとするか!
アリミナールは一人で納得していた。
やっと食べ終わったアリミナールが窓から少し離れる。
「で、ここで何していたんだ?」
食べ終えていないクローは、一旦食事を止めて話しかけてきた。
「何もしないという選択をしてみました。」
元気よく答えたアリミナールであったが、クローは納得していないようだ。
「クロー君、早く食べちゃってください。これじゃあ、教室に戻れないじゃないですか。」
呆れられたのか、笑われたのか、クローは小さいパンをアリミナールの口に放り込み、残りの物を食べていた。
口を付けてしまったので、アリミナールは仕方なくそのパンをモグモグと食べることにした。




