表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/246

第百四十七話 悪役令嬢は庶民の味に弱い

クローは、その食堂のおばさんに優しく話しかけていた。


「こんなお嬢様にうちの店の商品が口に合うかわからないけど、仲良くやんなよ?」


ちょっとの会話を済ませた後、そのおばさんは仕事に戻ったのか、扉を開けて建物の中に入ってしまう。その際、アリミナールに向けて手を振られたので、お礼の意味も込めて手を振り返してしまった。


「どれがいい?」

クローが貰った紙袋から中身を見せてくれる。その瞬間にぱぁっとアリミナールの表情は明るくなってしまった。学園脱走計画でも食べた商品が入っていたからだ。二つ選んで、クローにお礼を言った。


「ありがとうございます。」

「それだけでいいのか?」

「はい。」


両手に揚げ物とパンを持っているお嬢様はそうそういないだろう。そうして、クローから離れて行こうとするアリミナールであったが、なぜか後ろから付けられている。それに気づいたので一度立ち止まることにした。


ピタっ。


後ろのクローも同じように止まる。隠れるようなこともしていなかった。アリミナールが後ろを振り返っても何も言わなかった。


自分から聞くこともせず、アリミナールは学園の階段へ上って行く。これから行くところにクローは連れて行けないと考えなおし、声をかけることにした。


「あの、付いてこないでもらえませんか?」

「おばさんから感想聞いてくれって言われたからな。」

「そうですか。では、食べ終わったら伝えに行きます。」

「そうか。」


そう言って歩き出したが、クローはなぜかそのまま付いて来ようとしていた。


「まだ何かありますか!?」

「いや、なんとなく?」


溜息をついたアリミナールは、もう知らないと言わんばかりに付いてくるクローを無視して進んだ。

着いたのは、ただの廊下に等しい所だった。席もなければ、どこかの教室に入るつもりもなかった。この場所は人通りが少ない、窓からはアリミナールのお目当ての裏庭が見える。


この場所は、もちろん知っている。【初恋レディ】で、主人公がお弁当を持参して食べる姿が一望できるのだ。ふふ、さすが私だな。こんなこともあろうかと、ちゃんとリサーチ済み。まぁ、お助けキャラがいるのは計算外だけど。


窓の外を眺めながら、クローから受け取った揚げ物を出し、お嬢様としてはありえないだろう、立ち食いを始めたアリミナール。何も言わず、クローも隣で食べ始めた。


予想通りリリーダ発見!そしてもちろんあの方も!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ