第十四話 逃れられぬ運命と、って接点ないんだけど
「アリミナール今度はこっちだ。」
「ふぇ~ん。ちょっと、あ、もう無理。」
「アリー、ガイが動きました。」
グラン・アンジャードルタ、ケイン・アンジャードルタ、アリミナール・ブラックレスは逃げ回っていた。
「あの男、なかなかしぶといな。ちょっと楽しくなってきた。」
「兄さま、楽しそうなのはうれしいですが、アリーが死にそうです。」
「も、もうぅ、むり。」
パーティー用の煌びやかなドレスを身にまとっているのに、アリミナール・ブラックレスは汗をかいていた。
「しばらく庭園に隠れるか」グランの一言に同意した。
「~~ケイン。」
「ガイ。えっと、兄さま友達が来たので僕は中に戻りますね。」
「ケインの兄か?」
「ガイ、兄さまは忙しいから行こう!」少し焦るケイン。
「初めまして、ケインの友人のガイ・ブルスタールといいます。」
「話は聞いているよ。グラン・アンジャードルタだよ。よろしくね。」
「そちらは?」ガイがアリミナールに気づいてしまった。
「僕の友人のアリミナール・ブラックレスだよ。」
「ケインの友人のガイ・ブルスタールといいます。」
「・・・。」
「アリミナールは、初めてのパーティーで疲れてしまったんだ。僕たちは失礼するね。」
そう言ってグランはアリミナールを引っ張って行ってしまった。その時にガイと目があったアリミナールは、ニコリと笑顔を向けてしまった。何も答えないことが、とても失礼になるのではないかとつい笑いかけてしまったのだ。あと、なんかガイが悲しそうな顔をしていた気がしたから。
アリミナールはふと気づく、ガイ・ブルスタールは初恋レディの攻略対象者の中で、アリミナールとの接点がない人物であったことに。あれ、じゃあこんなに会うの回避してたけど、心配なかったんじゃないか?婚約相手ではないし、学園で初めてお互いを認識していた気がする。でも、今回の遭遇は語られていなかった。語るほどのことじゃないから書かなかっただけかな?とずっと考え事をしていた。
「アリミナール?」
「グラン様、あのガイ様という方大丈夫でしたでしょうか?作戦とはいえ、一国の王子相手に自己紹介もせず、逆に記憶に残ってしまう可能性がありますよね。」
「たしかに、別れ際の態度は気になるね。後でケインに聞いてみよう。」
私が真剣な表情をしていると、アリミナールの目を覗き込んで目を潤ませるグランの姿があった。