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第百三十八話 なんでもない日

アリミナール・ブラックレスの朝は早い。

いつもは、平日・休日問わずリリーダによるモーニングコールが待っていた。しかし、今日は違う。


昨日、勉強会の後にリリーダへ忠告した。次回のテストで結果が出るまでは近づくことを禁止すると。もともと私の傍にいるせいで、成績が下がったのではないかと考えたからだ。それを伝えた時のリリーダの顔は、寂しそうだったけどこれも主人公の役割のため!

もともと不治の病であるオタク少女の私は、本を読むことが好きだ。なんせ漫画がないのだ。アニメがないのだ。最後の頼みの綱は本である・・・といいたいが実はこの世界の本は、難しいものが多く、読みはするがあまり得意ではない。ノイシー先生のおかげか、絵本が私の唯一の楽しみになっている。そして、この学園のひとつだけ誇るところは、いろんな国の本が取り寄せてあること。いろいろ言っているが、要は実際やることがない私は、図書室に向かおうと早起きをしただけのことだ。


制服を取り出し、着替える。朝のくせ毛がぴょんと現れる。櫛で髪の乱れを梳かし、鏡で確認する。くるりと一周して身だしなみの確認は終了する。

朝ごはんの時間よりも早いため、アリミナールは紅茶を一杯飲み干した。


寮の門を通り過ぎれば、ほどよい風が前をよぎる。そしてアリミナールは歩きだす。

まるで他者から見れば、ひょこひょこと小さく歩く姿が垣間見えるだろう。本人は、普通に歩いているようだが、なにせ小さい体のため歩幅も狭い。


リリーダのいない時間はアリミナールにとって静かな時間だ。今までの生活でも二人で過ごす時間が長く、学園にいても、クラスが違っても変わらない関係だ。それでも、運命の導きによってかリリーダと出会い、子供の頃とはまた違った感情で今この時、この瞬間を生きて動いてしまう自分がいた。


さすが朝早い時間。休みとはいえ、誰もいない学園を歩くなんて新鮮だ。


ゆっくりと歩き、図書室にたどり着いたアリミナール。いろんな棚を眺め、どの本を持っていこうか悩んでいる。

手の届きにくいところにある本も、ん~しょっと手を伸ばす。誰もいない図書室で一人、アリミナールは絵本や自分の好きなジャンルの本を探した。

図書室を出る頃には、両手に抱えるほどの本を持っていた。まだまだ読みたいものはあったが、今日のところはこのくらいにしようと考えていた。


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