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第百三十六話 遠回りしようとすると近道だったりする

生徒会室を出たアリミナールとガイは、生徒会長に渡された袋の中を覗き込んだ。

「・・飲み物みたいだ。」

「っ!?」


ガイの視線も気にすることなく、アリミナールはガクッと膝から倒れこんで苦痛の表情になる。心配するガイの言葉も聞こえなかった。


そうだよね、物語って基本悪役の思い通りに進む、なんてことあるわけないんだよね!つまり、私が何をしても邪魔しているだけかもしれない!あははっ、食堂に行くより早く帰れるわこれ。あ、そうか、自分が悪役だからって考えると、すべて納得するような気がしてきたかも。世界は主人公中心に回っている!ってことで、作戦終了!


「どうしたんだ?アリミナール!?」

「人生の不条理に打ちのめされて・・。いえ、人生何があるかわからない、という言葉を心に刻むことにしましょう。」

「よくわからないけど・・・俺に手伝えることがあったら言ってくれ。」


はははっ、わかっているのよ。そんな優しい言葉で誘導して私を不幸の道に引きずり込む魂胆ね。本人に自覚はないのかもしれないけど、悪役令嬢に生まれた私は騙されたりしないんだからね!原作ゲームでも、きっと無駄に攻略対象者がアリミナールに優しくするものだから勘違いしちゃうお嬢様になってバッドエンドなのよ!やはり、敵ね。


立ち上がったアリミナールは、ガイと共にリリーダたちのいる教室に足を運ぶ。


あれ?今更だけど、アリミナールって唯一ガイルートではバッドエンドがないんだよね?あれ?私・・やっちゃった?いやいや、でも自分が死なないからって、ガイを優先させるのはどうなの?リリーダの友達としてそんなことは出来ないな。


ちらりとガイを見るアリミナール。


『そうだ、アリミナールに聞こうと思っていたことがあるんだった。』

そう思いだしたガイは、アリミナールの方へと視線を下ろす。


バチっ。


二人の視線が合う。


慌ててアリミナールは視線を逸らした。


あわわっ、こういう不意打ちは緊張するじゃないか!私、変な顔してないかな!?っていうか視線を外すのもどうなんだ。あ~考えれば考えるほど恥ずかしくなってきたよ。


アリミナールが頭の中でいろいろ考えている姿を見ているガイは、自然と笑顔になっていた。


『この時間が続けば・・』

話すことも大切な時間ではあるが、この何気ない二人の時間に安心しているガイがいた。


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