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第百三十五話 優しさではないこと

リリーダの攻略に向けて、その他の攻略キャラを巻き込む結果になってしまったが、これも作戦のためには必要なことなので、そこは我慢しなければ!これで二人きりの時間稼ぎができるわね。


先頭をきって歩き出したアリミナールであった。

「あ~アリミナール?どこに運ぶか知っているのか?」

そのグランの言葉にピタリと歩く足が止まった。


「手伝ってもらって悪いな。生徒会で必要な資料なんだ。」

「・・礼はアリミナールに。」

「アリミナール、ありがとう。」

振り向きはしないものの、後ろの声に反応しようとしていた時だった。


ぽすっ。


前方不注意、グランの言葉に反応して後ろを気にしていたため、目の前の人に気づかなかった。幸い資料は抱えるように持っていたため、落とすことはなく、壁に正面から当たったように頭ごと軽くぶつかった。一歩下がって見上げると、以前会った生徒会長と呼ばれる人であると認識した。


一瞬と呼ばれる時間軸であったが、なぜかじっと見つめられた気がしたので目が泳いだ。


「えっと、ごめんなさい。」

つい困った時って笑顔になるよね。笑いかけちゃったよ。一度会ったとはいえ生徒会長であるのと、先輩でもあるし、知らない人と同等だよね。


「やぁやぁ!どうしたの?グラン君が生徒会に引っ張ってきたの?」

「違いますよ、会長。」

さりげなくアリミナールはグランに腕を引っ張られ、生徒会長から一歩離された。

「会長が資料を大量に頼むから、アリミナールとガイが途中から手伝ってくれたんですよ。」

先導してグランと生徒会長が歩き出した。


生徒会室に着くと、生徒会長自ら扉を開けて部屋へ入れてもらった。

何事もなく資料を置いてアリミナールとガイは部屋を後にしようとしていたが、そこを生徒会長が止めた。


「二人ともありがとう。これ、良かったら持っていってよ。」

生徒会長は、ガイに袋を手渡した。それを受け取ったガイとアリミナールは生徒会室を後にした。部屋から出る時に、扉を閉める間際グランが笑顔で手を振っている姿を目の端に捉えた。


生徒会室では、生徒会長と副会長のグランが残された。生徒会長の彼は、笑顔全開でグランに笑いかける。

「びっくりした~。お人形さん喋ったよ!」

「当たり前ですよ。」

「それにしても、ぶふっ!グラン君が面白すぎて!」

「なんですか?」

「そんなに怒らないでよ。」

グランは生徒会長を睨みつけ、すぐに資料の整理に戻った。


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