第百三十四話 二人きり大作戦
あ、私の本来の目的忘れてた。リリーダの攻略対象をさりげなく判断して、攻略のお手伝いでも出来ればと思っていたんだ。あ~どっちかな?割とケインとのほうが親しくなったかな?ケインはリリーダと同じクラスでもあるから、親密度を上げていても困らない相手だよね。
リリーダとケインは、片づけようと二人でお弁当のほうに行っていた。それを見たアリミナールは、ガイに近づいた。
こっそりと周りに聞こえないように、ガイの耳元で囁いた。
「二人きりになりましょう。」
訳:二人きりにさせましょう。
ガイは顔を赤くした。
アリミナールは言葉の選択を間違えたことに気づいていない。
「ガイ様と一緒に飲み物を用意してきますね!」
待てよ、ガイがリリーダに好印象であるなら、嫌がるか?ふむ、ガイは表情に出ないから読み取りにくい。わからないけど、嫌そうな顔には見えない。表情には出ないけど、昔からなんとなくわかりやすい性格はしていたような気がする。これはきっと大丈夫な時の顔だ!ということにしよう。
アリミナールは、強引にガイを連れて教室を後にした。
しばらくは二人で静かに廊下を歩いていた。本来、アリミナールもガイも言葉数の多いほうではないため、必然的に静かになる。しかし、沈黙を破ったのはガイだった。
「アリミナール!」
先頭をきって歩いていたアリミナールを、ガイが引き留めた。
「・・どうしても、直接聞きたいことがあるんだ。」
じっとガイを見つめる。
「子供の頃、グランとケインは・・。」
真剣な表情をしているガイを制止したのはアリミナールだった。掌を出してストップの合図を送る。なぜ制止されたのかわからないガイは、アリミナールの様子を見ていた。
「やぁ、楽しそうだね?」
ガイの後ろから声がした。それは、ガイにとってはよく聞いたことのある声だった。
「・・グランか。」
後ろを振り向くと、両手いっぱいに資料を持っているグランがいた。手首にも手提げ袋を下げている。
ポンっと手を閃いたように叩いたアリミナールが、笑顔になる。
「ガイ様、ちょっと遠回りして行きませんか?」
「・・え?」
グランの手にある資料を半分奪い取ったのはアリミナールだった。
「ん?」
アリミナールの行動が分からず、疑問の表情を浮かべるグラン。ガイも不思議そうに見ていた。
資料を半分持ったアリミナールは、くるりと二人のほうを向き直った。
「さぁ、出発。」




