第百三十一話 つまりはカワイイってこと
「ひらりとスカートを翻す時!こちらを見て笑顔を見せてくれるのです!アリミナール様の笑顔は守らなければいけないんです。」
ケインとガイは、王子でありながら今はこの目の前にいるリリーダ・キャラベルの演説を大人しく座って聞いている。
「これいつまで続くと思う?」
「・・本人登場まで。」
ケインとガイはリリーダに聞こえないようにコッソリと話す。なんとなく、話の腰を折ってはいけない気がしているからだ。
「要約するとアリーのことを褒めているのか?」
「・・たぶん。ケインもだいたいこんな感じでグランのこと話している。」
「なに?ん~そうか?」
「ケイン・・自覚がないところが怖いな。」
ガイが珍しく疑いの眼差しでケインを見やった。
二人の王子のこそこそ話しは続いていたが、リリーダの演説も永遠と続いていた。話を聞いていない王子たちに構わず、リリーダはアリミナールについて語っていた。
「朝起きた時に、大きく伸びをしてとても可愛らしいのです!いつも、私の傍にいてくれて・・それなのに・・ここに来てからのアリミナール様は・・気になる異性がいるようで・・私との時間も減っている気がします!」
「はぁ!?」
「・・なんて!?」
流して聞いていた王子二人が反応を示した。
「だから、私との時間も・・あ、アリミナール様!」
そう言ってリリーダは、扉のほうを見た。その言葉にケインとガイも気づいて、扉に視線を向けた。
アリミナールは、何事もなかったかのような表情で落ち着いていた。
「アリミナール様!」
「きゃっ!リリーダちゃん。」
リリーダはすかさずアリミナールに抱き着いていた。
「一人にしないでください。」
「・・王子二人もいるのに?」
二人の王子は、リリーダとアリミナールを見てやれやれと言っているような雰囲気だった。
「アリミナール様の浮気現場を見ました!」
「浮気っ!?」
「私というものがありながら!」
「なぜ!?私の友達はリリーダちゃんだけだよ?待って、浮気した人の言い訳みたいじゃない!?」
「やっぱり好きです~。」
「軽い!」
「なんでこんなに可愛いんですか~。」
ぐりぐりとリリーダはアリミナールに抱き着いたまますり寄ってくる。
「リリーダちゃん~そろそろ正気に戻って~。」
「私はいつでも本気です!」
「ふふ。人前で話す内容じゃないですね。そろそろ二人の王子様の視線が恥ずかしいので開放してください。」
そう言うと、渋々リリーダはアリミナールから離れた。周りを見渡すと、お弁当が散らばっている惨状があった。




