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第十三話 パーティーと喋らぬ人形

 どこかの貴婦人のとあるパーティーでのこと。

 ガイ・ブルスタールはある特定の人物を探している。元気がいっぱいで笑顔が眩しい、弟タイプの少年を。たとえ人が混雑していようと見つけられると思っていた。しかし、パーティーも中盤になる頃であるのに、まだ見つけられずに探している。

「おかしいな、すぐわかると思ったのに。あ、庭のほうに!おお~い!ケイン。」

その声に肩をびくりと震わす。ガイ・ブルスタールにしては声を張り上げていることが珍しい。見つけられたことに喜びすぎたと少し顔が赤くなる。


「ケイン探した。」

「ガイ。えっと、兄さま友達が来たので僕は中に戻りますね。」

「ケインの兄か?」

「ガイ、兄さまは忙しいから行こう!」

 ケインの声が届く前に自己紹介する。

「初めまして、ケインの友人のガイ・ブルスタールといいます。」

「話は聞いているよ。グラン・アンジャードルタだよ。よろしくね。」

 ガイはグランの顔をまじまじと見る。整った顔立ちはケインに似ているが、兄のほうは美少年という感じだ。ケインは少しそれを幼くした感じがある。グランの影に隠れてもう一人いることに気づく。

「そちらは?」

「僕の友人のアリミナール・ブラックレスだよ。」

 グランがなぜか答えた。人としてのマナーのため隣国の王子はまた自己紹介を始める。

「ケインの友人のガイ・ブルスタールといいます。」

「・・・。」

 となりにいる少女は答えない。

「?」

 ガイは少し困惑する。ただ立っているこの小動物のような少女を怖がらせてしまったのだろうか?自分は何か間違えただろうか?

「・・・。」

 しかし、少女は答えない。

「アリミナールは、初めてのパーティーで疲れてしまったんだ。僕たちは失礼するね。」

 そう言ってグランはアリミナールを引っ張って行ってしまった。その時にガイと目があったアリミナールは、ニコリと笑顔を向けてくれた。ただ笑顔を向けられただけなのに、何も話さない人形のような少女が笑いかけてくれたことに、どこか安心するような、また嬉しいような、不思議な気持ちを感じた。

「ケイン、あの人。」

「僕の大切な人。」

 不敵に笑う笑みはケインの顔には似つかわしくない。

「ふふ、僕の友達なんだ。」

「そうか、今度会わせてくれないか?」

「え?どうしたの?」

「う~ん。なんとなく。これ約束な。絶対だから。」

 ケインは納得してない表情だ。気づかなかったことにする。

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