第百二十九話 わがまま姫にされるがまま
グラン大好きっ子に捕まったアリミナール。
ご令嬢は、銀髪に銀の目をした可愛いというよりは、美しいと言ったほうが正しい。肌も白く、どこかのお姫様の絵本に出てきそうな顔面偏差値をしていた。しかし、目つきはちょっと悪い。性格が顔に出てしまったのではないだろうかという感じだ。
「レイ・シルバスタントですわ。ご存知でしょう?」
ぶんぶんと首を振る。
「まぁ、そうでしたの。」
そう言って、レイ・シルバスタントはアリミナールの頭を撫でる。
「シグトルト国はご存知でしょう?」
ぶんぶんと首を振る。
「そんなっ。とても大きな国ですわ。」
そう言ってフォークを使い、食事をアリミナールの口へ運び持ってきた。
習性のためそのまま食べてしまうアリミナール。
「私は、シグトルト国の第一王女ですのよ。」
自慢のように言われたが、表情ひとつ崩さないアリミナールにお姫様は納得がいかないようだ。
「あなた、生きているのか心配になりますわね。何か話しなさい。」
「・・・。」
反応のないアリミナールを見て、さらに一口フォークを近づけてきたので、そのまま食べる。
「わ、私と友人になるのでしたら、今までのことは許してあげないでもないですわ。」
ふふん、とでも言いたげな傲慢なお姫様の台詞にアリミナールは反応した。
「お断りします。」
「え!?」
目の前のお姫様だけではなく、近くに控えていたメイドも驚きの表情を見せていた。
問題は性格じゃない。わがままお姫様ってのも悪くない。だって美人だし。きっとこの前の私の言葉を聞いてくれたのを証拠に、こうして友達になろうと言ってくれたのだろう。割とあの時はいいことを言った気がする。でも、女の子なら嫉妬しない人はいないだろう。このレイ・シルバスタントというお姫様は、きょ、きょ、きょ、巨乳・・。許せん。女の敵!美人でそんな素敵な物を持っているなんて、私をバカにしているのか!?いや、そんなことないってわかっているけど、転生してもその胸は備わらなかったのが悔しい!
そんなことを考えているアリミナールの心の中とは裏腹に、表情は笑顔を見せるほど余裕がある。しかし、ちらりと自分の胸を見て落胆する。
「私、悪いところがあるなら直します!」
なんでお姫様諦め悪いの!?




