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第百二十八話 主人公は正直

「ああ、すまない。この本だが・・。」

「もう!返して!」

そうしてリリーダは無理やりナリクから本を奪った。そして、去り際に答えた。

「この本は、アリミナール様が面白いって言ったから!ぶつかってすいませんでした!もう行きます!」

「おう、そうか・・。」

ナリクが驚いていると、脱兎のごとくナリクの目の前からリリーダは消えた。学園では、休日も食堂を開いており、数名の生徒がナリクの横を通りすぎた。


「いつまで離さない気ですの!?」

2階の階段近くの廊下の窓は開いているが、人が隠れるようなところはない。よく見ると、二人の女の子は空中に浮いているのかと思ったが、燃えない炎が足場になっていた。

アリミナールは叫んでいるご令嬢の手を握って、いつかの抜けだした際に使用した階段のように火の魔法を作り、足場に着くまで案内した。安全を確認した後にご令嬢から手を離した。そして、一人でさっさと歩こうとしていたアリミナールをそのご令嬢は引き留めた。

「ちょっと!どこに行くつもりですか!?」

アリミナールは、小首を傾げて疑問の表情を見せる。さようならと言わんばかりに、可愛く手を振って別れを告げた。

「あなた!本当に言葉足らずにも程がありますわ!」

叫ばれ、びくりとアリミナールは驚いてしまった。

「あなた一人なんて、どうとでも出来るのですよ!?この学園から追放だって私にかかれば出来るのです。数々の私への無礼は許されざることです!」

ぱぁっ、とアリミナールの表情が輝きだした。両手を祈るように握りしめ、うんうんと首を縦に振っている。

訳が分からないご令嬢は、逆に戸惑っているようだ。

「いえ、違うのです。こんなことを言いたいのではなくて・・。」

その言葉を聞いてあからさまにアリミナールはガッカリとしている。

「あの・・えっと・・。」

何かを言いたそうな表情をしているご令嬢は、ズルズルと嫌がるアリミナールを無理やり引っ張って行く。アリミナールは特に抵抗をしなかった。


案内された場所はよく知る場合だった。普段使用している食堂。

なぜかいつの間にか食堂に入ると、ご令嬢のメイドなのか二人を席に案内しだした。そして勝手にメニューを決め、二人の元に食事を運んできた。

「レイ様、お待たせいたしました。」

このメイドの発言により、このご令嬢の名前を始めて知った。そして、どこかで見たことがあるご令嬢だが、『チーム協力型、体力測定』で出会った、グラン大好きっ子であることに気づいた。


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