第百十九話 オタクは転生後も治らない
「・・良かった。」
ガイが安堵の表情をしている。
その隣で、葛藤の末写真を頂いてしまったアリミナール・ブラックレスは後悔と、喜びといろんな感情を持っていた。
「僕も自分の写真を渡したら、許してくれる?」
「くっ、しょうがない・・ですね。」
私終わった。こんなことでいいのか?どうか神様、オタクである私を一般人に戻してください。いや、これが転生しても変わらないなんて不治の病ってやつか!オタクって転生でも治らないんだ。
「アリーが写真に興味あるなんて。」
王子たちは勘違いしているようだ。好きなゲーム、アニメ、漫画のグッズは欲しいに決まっているでしょ。しかもそれが手に入らなかったものなら尚更だ。誰でも限定グッズとかに弱いよね。この写真なんて限定グッズどころか、この学園の生徒たちも欲しいでしょうに、手に入らないものなんだよ。この写真は大切に保存しよう。
「・・で、なんでケインとアリミナールがここに二人なの?」
それは私も知りたい。写真を眺めながら心の中で質問する。
「学園にいる時間は短いんだよ。自分のやりたいことをするべきなんだ。アリーと二人で話すことなんてこうでもしないとないからね。」
「ははっ。グランよりも君を警戒すべきだった。」
二人が謎の睨みあいをしていた時、アリミナールは柵の外を見ていた。
「やりたいことやる・・か。」
「お二人って、お勉強は得意ですか?」
話しを切り替えた。答えは知っているが、一応確認してみる。
「え?どの教科も心得ているよ。」
「・・うん。ケインほどじゃないけど。」
「素晴らしい。では、良かったら今度お勉強を見てくれませんか?」
「いいよ!アリーの頼みならなんでもするよ!」
「ああ、いつでも声かけてくれ。」
「ありがとうございます!」
「ところで・・アリーって勉強苦手だったかな?」
「私は得意ですよ。何言ってるんですか?」
「・・誰の勉強を見ろって?」
「王子様のお二人に教えて頂くんですから、場所を確保しないとですよね。寮の許可はもらえないでしょうし。ああ、試験も近いので早くしないと。」
「アリーも人の話しを聞かないですよね。誰かはなんとなく予想できますが・・。」
「・・え、まさか・・。」
不安になったガイがアリミナールの両手を握りしめた。
「せめてアリミナールも参加するのが条件だ!」
ガイにしては珍しくはっきりと宣言した。
突然手を掴まれて顔を赤くしてしまったが、王子相手に嫌そうな顔をしていた。




