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第百十八話 乱入者

溜息をつき、渋々アリミナールはフォークを手に取った。

これを誰かに見られていたらと思うと、命がいくつあっても足らない。女の子たちからのフルボッコ間違いなしね!

アリミナールが、ケインに食べさせた時だった。誰もいないはずの屋上の扉がおもむろに開いた。


「・・見つけた。」

アリミナールはこの状況で現れる確率といえば、リリーダのことを思い出したが、現在アリミナールとケインの前にいるのはガイ・ブルスタールだった。

「ケイン?何しているの?」

「ちっ。」

誰かの舌打ちが聞こえた気がするが、ここにはアリミナールと王子たちしかいない。

「ガイ、どうしたんですか?」

「・・ふははっ。アリミナールに会えると思ったのに、教室にいないからさ。」


二人の顔を見て、ふとアリミナールは思い出す。

「あ~そうだ。私、二人にお話しあったの思い出しました!」

「え、アリーから話し?珍しい。」

「・・アリミナールから話しがあるなんて。」


「今すぐ写真を出しなさい!処分します!」

この一言で二人とは目が合わなくなった。なんでだ?そんな難しいことじゃないよね?

「・・アリミナール、思い出って大切だと思うんだ。」

なにやら、ガイが悟りを開いたようだ。いま、そんなことどうでもいいでしょ。

「・・俺の写真ならあげるよ。これでお互い様だよね!」

「えっ!?」

やばい今心が揺れてしまった!ゲームではグッズ販売に参戦出来なかった後遺症が今発症してしまった!くっ、アリミナール一生の不覚!

「なんでアリー考えたの!?ガイの写真が欲しいの!?」

「ちっ、違うんです。これは、病が発症して・・いえ。」

「・・病?」

「アリミナール・ブラックレス、こんなことでは折れません。」

苦虫を嚙み潰したような、苦渋の選択と感じてしまう。己のオタク魂との葛藤を繰り広げていた。

「ちなみにどのような写真ですか?」

せめて、写真の概要を見て判断したい。って考えている時点で自分は終わっているな。

「これ!」

あいたたたっ。本当に病が発症してしまうではないか!寝顔とか最高か!ああ、なぜこんなにも登場人物たちは私の心をかき乱してくるのか。いや、完全に今の状況は自分の自己責任か。どうしよう、どうしようと考えている時点で答えは決まっているに違いない。だって王子様の写真だよ。普通に生活しても手に入るわけないし、本人公認なら持ってても不自然じゃないし、一生手に入らないんだよ。どうやら私は重症のようだ。


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