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第百十四話 ケイン王子は呼ぶ

授業の終了の合図が告げる。

いつもの光景はリリーダが真っ先に現れて、食堂へと一緒に足を運ぶ。席で待っていた私はなぜか突然不安要素が増大した気がした。


「アリー、お待たせ。」

リリーダかと思い、いつものように振り返ったがすぐに違う人物であることに気づく。

いやいや!お前なんか待ってないし。なんでケインがいるんだ。

表情には出さないが、アリミナールは驚いていた。

「今日は僕とお昼を食べに行こうよ。」

なにが起きているんだろう。人払いの呪いって本当に最高の魔法だったんじゃないかな。これほど後悔しようとは。

「いつものあの子なら来ないよ。」

まるでアニメに出てくる悪役のごとく冷ややかなセリフだった。一体リリーダになにがあったんだと心配になった。

「ただの補習。自業自得だね。」

ああ、リリーダちゃんはおバカさんだもんね。なんか涙出てくる気持ちだわ。まさか、昼休みでさえ補習になるってどんだけなんだ。やっぱり育て方を間違えた。


「行こう!」

そう言って手を握られた。

「あ、あの、ケイン様!?」

突然の出来事に顔を真っ赤に染めて、声を出してしまった。

なんだか楽しそうに笑顔を見せるケインを見て、こんな顔をしていたのかと思った。よく見ると、ケインの顔はアイドル顔みたいな顔をしていたのか。いやそれよりも、王子という肩書きがあるため、周りから見られている気がする。厄介事は面倒なのでやめてほしい。あと、とてつもなく恥ずかしいのでこういうことは止めて頂きたい。そう思っても言葉にはしない。


連れ出される間、ずっと手を握られていた。

「ケイン様、どこまで行くのですか?」

「二人っきりになれるところまで!」

かわいい!あざとかわいい!この輝かしい笑顔は卑怯だと思う。あれ、まさかとは思うけどこのシーンに似た光景をどこかで見たことあるような・・・。あれ?

二人は階段を上っていた。学園に来てからこの道を通ったことはなかったが、立ち入り禁止のマークがあるところまで進んで行ってしまった。


アリミナールは思い出す。この先には屋上が存在することを知っている。そう、ゲームにこの場所を選択することが出来たのだ。でも、ケインのルートで見てはいない。主人公とケインは同じクラスだったから場所を移動することはあまりなかった気がする。


今屋上の扉が開かれる。


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