第十一話 追放っていうのはどうでしょう?
「私はこの国の王子様達になんてことを言ってしまったのでしょう。これは不敬罪というものだと習ったわ。さぁ、この国から追放してください。」
「今日もアリミナールは元気みたいで良かったよ。」
グランは笑っている。
「アリーは僕の友達だから不敬罪なんてないよ。」
ケインは真剣な顔で答える。
なんでだろう、ブラックレス家って実は王家と気軽に話せるような身分ではないと聞いたのだけれど。二人の王子は定期的に屋敷に訪問してくる。私の話を全く聞かず、友達だからと言って、この3人の集まりが固定されている気がする。
「友達ではありません。では、甘んじて友達だと受け入れたら追放してくださいますか?」
「ダメ。それだと簡単には会えなくなるからね。」
天使のような美少年のグランはそう答えた。
「アリーは僕たちに会えなくなるの悲しくないの?」
「悲しくありません。」
「僕、もっとアリーに必要とされたいな。」
ケインの上目遣い攻撃。
「かわいい。じゃなくて、ケイン様までどうしたのですか?グラン様になにかされたのですか?」
「兄さまは何もしてないよ?」
「僕もケインが突然、アリミナールと友達になったって言ったときはびっくりしたよ。アリミナールなにしたの?」
なんだそれは?ケイン様に対してしたことと言えば無視をした。あと、耐え切れずに話してしまった。王族を無視するって今考えるとやっぱり不敬罪で合ってるよな。
「なにもしていません。あの、グラン様はどうして私を友達にしたいのですか?ケイン様はどうして心変わりされたのですか?」
「アリミナール、それは秘密だよ。友達になってくれたら教えてあげる。」
「アリー、友達になることに理由なんてないよ?アリーが否定しても兄さまも僕も、もう友達だと思っているよ。」
アリミナールは二人を睨みつける。死亡フラグのことを考えるとこれは危険だと判断したからだ。
アリミナールは気づいていない。グランとケインから見るアリミナールはただの小動物みたいに小さく、本人は睨んでいるのであろうが、まったく迫力がないのだ。
「そういえば、アリミナールは来週のパーティーに出席するって本当かい?」
「アリーも来るの?やった!僕の友達を紹介するよ。」
「やめてケイン様!それだけはどうかお願い!えっとほら。初めて出席するパーティーだから緊張しているの。私には荷が重いわ。」