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第百六話 私の心

アリミナールは手を頭に近づけ、ふと髪飾りを触っていた。返すのを忘れていたことを思い出す。


「明日、ノイシー先生の元に行ってくるね。」

もう自棄よ。主人公に改心させられた悪役令嬢なんて完璧でしょ。要はバッドエンドにさえならなければいいのよ。子供の頃から学園のことばかり考えて、せっかく二度目の人生生きているのに。私の心は私のものなのに。


恋さえしなければ順風満帆な人生になる予定なのよ。これが普通の悪役令嬢なら、主人公さえいなければとか、考えるのかしら。でも、リリーダが主人公だから駄目ね。


翌日になり、リリーダも付いて来ようとしていたが、写真の所持を許可することを条件に置いてきた。呪いがもう一つあるなんて話したら、めんどくさいことになりそうだからだ。それにしても、なぜ私の写真がこんなに必要なのか。この世界では写真は確かに少しお高い扱いを受けている。でも、リリーダの家はこの学園の人々と比べると地位は低いが、貧しくもない。

そうか、私とリリーダは写真なんて撮ったことないか。身の安全のために荷物は最小限の生活だったから、この生活が真新しいのかもしれない。今度二人の写真でも撮ってもらおう。写真は嫌いだけど、リリーダのためならそれくらいいいだろう。


馬車に揺られながら、私は窓の外を見る。今の景色は、学園から脱走した風景の道だった。そして路地を眺め、あの時の光景。見るからに怪しい占い師の言葉を思い出す。


『心がぽっかりない。』


そう言われた。

実は当たっている。いや、当たっているというのは間違いだ。当たっていないが、間違いでもない。言葉が言霊として頭の中で繰り返し流れる。悪夢でも見ているかのような繰り返しに私はただ呆然と聞いて、外を眺めている。


現在、ノイシー先生には私やリリーダが傍にいないため、通常の業務に戻っていると聞いていた。ジェット国、守り神の職務。

しかし、ジェット国に終始在籍しているわけではないとのこと。孤児院や、学校で職員として魔法の知識を広めていると聞く。詳しくは知らないが、私のような魔法の特異体質が出た時にいつでも動けるよう、固定された仕事には就いていない。私が今向かっているところも、国からは少し離れている。リリーダが手紙でやり取りをしているため、だいたいの所在がわかる。


街外れにある、教会が見えてきた。ノイシー先生のことだ、そこにいる可能性があると判断し、馬車から一人で降りた。学園専用の馬車であるが、お忍び用の用途で使用されるため、教会から少し離れた場所で待機してもらう。


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