第百三話 悪役令嬢の呪い
『これは呪いだよ。』
そう言われた。
ある時から、私はノイシー・キャラベル先生の魔法について研究を始めた。私の魔法には攻撃以外の使用がほとんどないし、この世界に戦争がないと言えば嘘になるが、私のいる国には化け物として利用することはない。攻撃の魔法なんて、利用価値がないのだ。今後の攻略対象者たちの出会いにおいて必要性は一切ない。だからこそ、ノイシー先生の魔法に目を付けた。
『ノイシー先生、心についての魔法をもっと教えて頂けませんか?』
この一言が始まりだった。
ノイシー先生は、良くも悪くも人の喜怒哀楽や、悪いことを考える人の心が読めることだけしか出来ない。
それでも私は考えた。この魔法をもっと強力にすれば、どんな運命にも逆らえる魔法が出来るのではないかと。
そしてある力を手に入れた。
これさえあれば、私は運命に勝つことが出来るのだ。
ノイシー先生にはこう言われた。
『これは呪いだよ。』
それでも私の心は決まっていた。
『この二つの呪いは、制限があるからね。』
ある条件のもと、私はこの学園に呪いを持ってやってきた。まさか、この呪いがリリーダに効かないとは。
そして、ノイシー先生にはこう言われた。
『もう一つの呪いは、君が思っているより早く解けるだろう。1日かもしれないし、1週間かもしれない。アリミナールちゃんは、誰よりもこの呪いが効かないと思うよ。』
呪いと名付けたノイシー先生には反対された。いくら制限を付けても、人の心に関わることを操作するからだ。最後までノイシー先生は心配していた。
「アリミナール!」
名前を呼ばれ、現実に引き戻された。
「人払いの呪いはすぐに解けますよ。」
にこりと笑顔を見せる。3人はその笑顔に驚きを見せているのか、黙っている。
「ずっと人払いをやるのは、さすがにノイシー先生が許してくれません。・・今度、ノイシー先生がこの学園に来て解いてくれる予定です。ただ、皆さんこれは極秘事項ですよ?人の心を動かせる魔法があるなんて、危険が付きまといますからね。でも、その辺は心配していませんが。ノイシー先生がいるのはガイ様のいる国ですし。」
「・・アリミナールは何がしたいの?」
「言っているじゃないですか。私は、私がしたいことをするだけです。」
そう言ったアリミナールは扉のほうに目を向けた。
コンコン。
「さて、そろそろ呪いの時間ですかね?」
「待て、呪いが解けたら俺たちはどうする?」
「不本意ですが、お好きにどうぞ?」
ノックの音で3人は呼ばれて行った。