第百二話 原因は本人
「ノイシー先生に聞いていたのね。でも、別にいいのよ。こんな呪いなんてたいしたことじゃないのよ。」
アリミナールは淡々と答えていた。
呪いの言葉に食いついたのはグランだった。
「その人払いの呪いには、どのような効果があるんだ!?」
「そのままの意味です。呪いを受けた本人と、関わることは出来るけれど、長い時間を共有することは出来ない。深く関わり合いになれない。簡単に言うと、アリミナール様に会いに行こうと思っても、呪いの効果で一時的ではありますが、会えなくなります。」
「なるほど、学園でアリミナールを探そうとしても見つからないはずだ。」
そしてグランは、今度は誰にも聞こえないようにこうも言っていた。
「アリミナールが策もなしに学園に来るはずはないと思ったが、そう来たか。こうなると、策がこれだけとは思えないな。」
「・・・アリミナール、その呪いはノイシー・キャラベルに?」
「私がノイシー先生にお願いしたのです。必要なことでしたので。」
「呪いの必要性がわからないよ!」
ケインがそう言った。
「3人は何か勘違いしていませんか?子供の頃に出会った時と今は違います。大人になって、私も変わっているのですよ。私は私の時間を生きていたいのです。この先、あまり人と関わりたくはないのですよ。この学園には、来たくてきたわけではありません。子供の頃の私の生活をご存知でしょう?ほとんど隠れて過ごしていました。何をそんなに拘っているかわかりませんが、そろそろ私にも自由の時間が欲しいのです。私のことを少しでも考えてくださるなら、勝手にさせてほしいですね。」
「君が勝手にするなら、こちらも勝手にするまでだ。」
グランは、力強く答えた。
「ふ、ふふっ。」
アリミナールは思わず笑ってしまう。
この人たちは何に拘っているのだろう。私も私で、いくら子供の頃からの知り合いといえど、ここまでの暴挙をよくやっている。怖いもの知らずとはこのことだろう。
「失礼しました。言葉が過ぎましたね。どうやら、あなたたちはとてもお優しい人なのでしょうか?心配でもしてくれているのですか?」
「アリー!呪いなんだよ!心配しないほうがおかしいよ!」
アリミナールの私に対して攻略対象者が心配とかするんだ。これは驚きだ。まぁ、乙女ゲームの攻略対象者が優しくないわけがないか。