第百一話 夢中になっていると他のことを忘れる
よく見渡せば、教室には似つかわしくない花々が飾られていることに気づく。
ああ、これが懐かしいという感覚か。王子たちよ、そういうことは主人公にやってください。これが、普通のお嬢様なら勘違いされているところですよ?それともこれは最新のいじめか何かですか?
「似合っているね!」
ガイはやはり満足そうに私を見ている。
ありがとうございます、なんて言わないんだからね!嬉しくなんてないから!ツンデレ風に自分に言い聞かせて、もう贈り物はしないでほしいと注意しようとガイに向かって言おうとした。
「あの・・。」
「なっ!アリミナール様!」
沈黙の主人公が声を出した。そして、こちらもマナーをわきまえず立ち上がっている。
「これは、アリミナール様から友達の印として頂いたものです!そうですよね?」
以前私がプレゼントした髪飾りを、リリーダはドレードマークのように身に着けてくれている。リリーダに問われれば頷くしかない。コクリと首を動かした。
それで満足したのか、リリーダは席についてこちらをみてくる。似合っているとか、可愛いといえば満足してくれるのだろうか?なぞの行動にアリミナールはついていけない。
アリミナールとリリーダが視線を合わせているため、ガイが睨んでいる姿は誰も気づいていない。
「アリミナール、その子とは友達なんだ?」
ガイが含みのある言い方をした。子供の頃からそうだが、この3人は友達という言葉に弱いのだろうか。
「リリーダちゃんだけが・・友達です。それ以外に友達はいません。昔からそうでした。」
「私も!アリミナール様だけが友達です!呪いは私には効かないのです!」
「・・・・・・。はぁ!?」
一呼吸開けて、アリミナールはお嬢様らしからぬ言葉でリリーダに疑問をぶつけた。
「なんで呪いのこと知っているのよ!リリーダちゃん!?」
「はわっ!私何か言いましたか?」
誰にでもわかるような嘘をリリーダは答えていた。
「呪い?」
グラン、ケイン、ガイもそれぞれ疑問の声を出していた。
「リリーダちゃん、私が優しい心を持っているうちに、今すぐ答えなさい。」
「ひゃい。」
リリーダはアリミナールには逆らえないようだ。ゆっくりと答え始めた。
「あの、あのですね。詳しくは知らないのですが・・・人払いの呪いを行ったと、お父さんから聞きまして。でもでも、どうやら私には効かない呪いのようで。言ってはダメでしたか?」