出会い。
中学3年、受験勉強まっしぐら。
塾で勉強に埋れてる。
人見知りな性格が災いし、孤独な戦いみたいに
なっていた。そんなある日。
彼女と話すタイミングは突然訪れた。
「教科書忘れたから見せてくれる?」
隣に座った彼女が屈託のない笑顔でたずねてきた。
「うん。」
僕は緊張していた。今までこんなに可愛い人と
話したことなんてない。何話したかなんて覚えてない。
彼女はずっと笑顔で話していた。
誰に対しても分け隔てなく対応できるのかな?
彼女の名前はゆい。
名前で呼ぶ?出来ないできない。
あの‥とかしか言えなかったと思う。
緊張しながらも楽しくて仕方なかった。
異性にこんなに親しげに話してもらうなんて
生まれて初めてだからだ。
それからというもの、毎回毎回
ゆいはずっと僕と話しこんでいた。
塾が楽しくて仕方ない。学校なんてそっちのけ。
勉強のこと、学校のこと、そして‥
「今度一緒に遊びに行かない?」
最初冗談だと思った。
茶化さないでと笑った。
でも彼女は真剣に遊びにいこうと僕を誘った。
「僕と一緒にいて楽しくないよ?」
2人きりになったら黙っちゃう。
そんな自分がわかりきってるから断ろうとした。
「いや、楽しいと思う。ぜーったい。」
彼女はまた屈託のない笑顔で答えた。
彼女は僕になんの興味が?
よくわからないままデート?することに。
中3の夏。受験勉強でわけわかんない状況
だけど、彼女の笑顔で乗り切れた。
そしてデートに。
僕は野球観戦しかわかんなくて
野球場で待ち合わせ。
携帯の着信音が鳴る。
メールの相手はゆい。
「ついたよー。どこにいるの?」
そのメールを見た僕はすぐ電話。
「もしもし、5番ゲート前にいるよ。赤い服着てるから」
「どこー?わかんな‥あっ!いたいた」
彼女と合流し、球場で野球観戦。
食事も買ったり、試合も見たりしたんだけど
何にも覚えてない。楽しすぎて。
ガールフレンドでもないのに勝手に舞い上がってた。
彼女は楽しかったかどうかはわからないが、
ずっと笑顔で楽しかったと言ってくれた。