1・プロローグ
初投稿です、よろしくお願いします。
両親が死んだ。
交通事故だった。トラックが突っ込んできた。
事故の瞬間の記憶は覚えている。父がエアバックごと潰れていた。母はフロントガラスに頭をぶつけて真っ赤になっていた。
自分はなぜか助かった、シートベルトをしていなかったにもかかわらず。軽い骨折と打撲だけで済んだ。
運がよかったのだろう。いや、悪かったのかもしれない。
事故のあとのことはよく覚えていない。
病院に搬送されたこと。叔父が親身になって声をかけてくれたこと。母の死体はきれいにして見せてもらったけど、父の死体は見せてもらえなかったこと。いろんな人が泣いていたこと。そんな点々とした記憶だけが覚えている。
葬式は叔父がやってくれた。昔から格好よくて好きな叔父だった。いろんな人が頼りにしていた。叔父の指示に機械のように従っていろいろな手続きをやったけど、自分一人では何をすればいいかわからず途方にくれてただろう。叔父には感謝している。
念願の一人暮らし。
生家は売ってアパートに引っ越して生活を始めた。せっかく合格した大学もやめて、毎日アルバイトをした。早く自立したかったし、動いていた方がむしろ気が楽だった。
学生のころは父が嫌いで、早く一人で生活したいと思っていたのに、実際にこうなると家族が恋しかった。何度も泣いた。
そしてバイト帰りのあの日。
車道に飛び出した子供が車にはねられそうになった。車は気づいていないのか速度を落としていない。子供もそれに気づいていない。
漫画のテンプレのようなピンチの場面、当然のように僕は飛び出した。助けたかったからか格好つけたかっただけなのか、それとも死にたかったのか。たぶん全部だろう。
突き飛ばされる子供、慌てた顔の運転手、急ブレーキで止まろうとする車。
急いで立ち上がれば逃げれたかもしれないのに、僕は立ち止まっていた。周囲の悲鳴。場に似合わず微笑む僕。母の死に顔。頬を伝う涙。
死にたくない。
気が向いたときにちょくちょく上げようと思っています。読んでくれたすべての方に感謝を。