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もうひとり

 明日香と拓海は語り合っていた。

「明日香、僕達ってどうなっているんだろう?」

「私が精神科で診察を受けている事は日記に書いたよね? 私、解離性同一性障害っていう病気らしいんだ。いわゆる多重人格って言うやつらしいの。だから、私の知らないうちに別の人格が出て来て、パニックを起こしたり自殺をしたりするらしいの」

「別の人格って僕のこと? 僕は明日香を傷つける様な事はしないよ」

「そうね。拓海は優しいもの。きっと拓海とは別の人が居るんだと思うわ」

「それならば、僕は明日香を守るよ! 絶対に明日香を傷つける様な事はさせないから……」

「拓海……。ありがとう」

 その時、またしてもめまいが起きた。今回のめまいはさっきよりもずっと激しく頭痛も伴なっていた。明日香は消えてしまいそうな意識を必死で保った。ここで気を抜くと明日香が明日香では無くなってしまう事が解っていた。

 激しいめまいと頭痛の中に声が響いて来た。

「なに甘い会話なんかしているのよ! 明日香、私だってあんたが作りだした人格なんだからね! 両親から虐待を受けたり、学校でいじめに遭ったりする度に私と入れ替わって! 辛い事は全部私に押し付けて、自分はどこかに隠れていたじゃない! そんなあんたが、守ってもらう? ふざけないでよね! 守ってもらうべきなのは私じゃない!」

 もうひとりの人格が明日香と拓海の中に乱入して来た。


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