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商人の異世界転移  作者: 佐藤 田中 鈴木
15/20

15話目 商人図書館に行く

「少し待っててくれ」

「僕は中に入れないの?」

「恐らくゴーレムが中に入れないと思うぞ」

「そっか、残念」


 店の中には入ったが奥に行けるのは恐らく俺だけだろう。ゲームの時も奥に行けるのはその店舗を所あしている者か同じギルドに所属している商人だけだった。

 奥に進もうとするとゴーレムが道を塞いだので、ゴーレムに怒りをこめた蹴りを食らわせるとカウンターに戻っていった。

 奥の部屋の魔道具を起動させリストにあった材料と消費したアイテムを取り出す。もちろん必要な材料は山のようにあったのでケチらずに100個分取り出す事にした。

 現在アイテムの販売は下級ポーションや下級の装備品等しか販売していないので余り売上は良くない。

 それに思ったより買取も少ないようだ。恐らく『タイタン』の店舗があるからそちらを利用する人が多いのかもしれない。

 これ以上ここでする事はないので部屋から出てトーマスと合流する。


「待たせたな。材料を渡すが良いか?」

「分かった。いっぺんに渡さないでね」


 アイテムボックスから材料を取り出し渡していく。トーマスは受け取った材料をアイテムボックスに入れていった。


「これで最後だ。全部入ったな」

「ギリギリだったよ。もう少し多かったら往復しなきゃいけないとこだったよ」


 商人や牧場主以外はアイテムボックスの許容量が小さい。これは数少ない商人や牧場主の長所と言えるだろう。


「それは良かったな。それではその材料を老人に渡してくれ。ついでにこの事は他言な用と言っておいてくれ」

「分かったよ。その後僕はどうしたら良い?」

「そうだな。引き続き情報を集めてくれ」

「分かったよ」


 トーマスは指示を聞くと駆け足でスラムの方に行った。さて、これから俺はどうしようか……昨日調べれなかった図書館の本でも調べるとするか。

 城まで帰って来たが特に変わった事はなかった。門番も真面目そうな青年だったので特に話はしていない。

 図書館に入ると昨日とは違い殆ど人が居なかった。受付のお姉さんに貸出状況を聞いてみるか。


「済みません。今日は貸出は出来そうですか?」

「ああ、昨日の! ええ、少し時間は掛かると思いますが貸出出来そうですよ」

「そうですか。昨日はいっぱい居たのに今日はそうでもないですね」


 俺が疑問に思った事を聞いてみるとお姉さんは苦笑しながら答えてくれた。


「ええ、親切な方が『歴史の纏め』を作って下さったので殆どの方はそちらを見て帰りました」


 お姉さんが指を指した方には小さな紙が貼ってあった。


「そんな人が居たんですね」

「ええ、何でも効率を良くする為だとか言ってましたよ」

「そうですか。確認してみます」


 一旦お姉さんの元を離れ髪が貼ってある場所に移動する。

 貼ってある紙を見てみると確かに分かりやすい歴史が書いてあった。


旧暦  転生者(プレイヤー・一部NPCによる転生)が現れる。

   (恐らく転生システムの実施)

    新フィールドの追加。

    確定情報ではないが神級武器等の制作情報あり。

新暦01年プレイヤーが居なくなる。

新暦050年国家が4っつに分かれる。

    新しい通貨SシルバーBブロンズFアイアンが作られる。

   (SシルバーBブロンズFアイアンは商店では使用不可)

新歴100年~200年前の通貨の含あ量低下事件にて一部通貨が商店で使えなかったが新暦

    200年より含あ率が元に戻る。

新暦500年650人のプレイヤーが召喚される。


 これなら大概の人には分かるだろう。ゲーム時代のプレイヤーはもう居らず新たに召喚された650名がこの地に住む最後プレイヤーだ。

 図書館に来た人の中にはもしかしたら過去にもプレイヤーの召喚等でここに来た人が居たのではと思って調べた人も居るかもしれない。

 だかその可能性は低いだろう。貼ってある紙はもう一つありそこには調べた本のタイトルが書いてあった。

 かなりの数のタイトルが書いてあるので一人ではなく複数で調べたのだろう。余り関係のなさそうな童話のタイトルも書いてあった。

 これだけの量を調べて居るなら軽く確認するだけで問題なさそうだ。そう決めるとお姉さんの元に戻った。


「確認しました。とても分かりやすかったんですが、一応確認したいので歴史書をお借りしても良いですか?」

「分かりました。歴史書は今貸出中なので順番が来たらお呼びします。他に見たい本はありませんか?」

「そうですね。……ここ最近の発明品や特許製品に関する本はありませんか?」

「それでしたら発明の歴史と特許申請中書類で確認する事が出来ます。ただし特許申請中書類は簡単な説明と登録製品名しか載っていませんがどうなさいますか?」

「その2冊をお願いします」

「分かりました。ではあちらの席でお待ち下さい」

「はい」


 お姉さんが進めた席は窓際の席だった。他の人とも近くないので集中して読む事が出来そうだ。

 席に座って待って居るとお姉さんがワゴンを押してこちらに来た。本は1冊だったがバインダーが大量にあった。これは予想外だ。果たして今日だけで確認する事が出来るのだろうか。


「お待たせしました。これが発明の歴史でこちらが特許申請中書類です」

「あ、有難う御座います……」


 渡されたのは分厚い1冊だったがバインダーはカートに乗ったままだった。確認してみると23冊ある。確かにバインダーなら後から書類を追加出来るので使い勝手が良さそうだがこれは幾ら何でも多過ぎる。

 恐らくルーキンス家の特許が大量にあるのだろう。確認する所も忙しいと言っていると聞いた事があるから。

 仕方ないので発明の歴史を先ずは見るとするか、本を開いて見ると目次に発明品と製作者名一覧のページがあったので確認する。

 流石に昔の発明品が多くルーキンス家の名前はなかった。しかし冷蔵庫や洗濯機、冷暖房機器は昔からあったらしい。

 逆に兵器や馬車の変わりになる物の発明品はなかった。詳しく見ていると時間がなくなってしまうので特許申請中書類を見る事にする。

 バインダーの背表紙には『兵器』『生活補助』『その他』に分かれていて番号が1から振ってあった。

 

                   ※


 時間が掛かったが全て見る事が出来た。最もこれは俺の読むスピードが速いのではなくただ見ていたからだ。流し読みは早く読みながら理解するが見るだけなら比較的簡単だ。ただページを捲れば良い。そして気になる所を見つけたら読めば良い。こうする事で何とか今日中に全て確認出来た。

 しかしここにある特許申請中書類の中身は凄い物だった。元の世界の兵器や便利な製品など多種多ような物が書いてあった。

 もちろん作り方などはなかったが説明はあったので大体の予想は出来る。しかし人一人で登録されている、登録されようとしている物を作る事や設計する事は出来るのだろうか?

 いくら18年も早くこの世界に生まれ、元の世界で存在する事を知って居たとしても数が多過ぎる。

 バインダーの中身はほぼ全てクライム・ルーキンスの特許だった。数人違う人の名前があったが23冊あって数人しか居なかったのだ。

 これは可笑しい。例えあいつが元の世界で機械等に興味があり仕組みを知っていたとしても兵器等は知りようがない筈だ。

 それに多種多ような製品のに欠かせない理論を知りすぎているのも可笑しい、特殊な機構を持つ機械等は秘密が漏れないようにしているところが多い筈だ。

 この技術が全て開放されたらこの世界は大きく変わる事になるだろう。戦闘に関してはレベルやステータスがあるので兵器は余り通用しないかもしれないが生活魔道具や産業魔道具は利用価値は計り知れない。

 ジョブ持ちが作るには殆ど時間は掛からないが、大量生産用の魔道具には負けるだろう。

レベル等が高ければ良い物が作れたりするが機械であれば誰がやっても品質は同じ物を作れる。

 農業も農民のジョブ持ちがあ利だがトラクター等が販売されれば大量に生産出来るようになる。

 きっとこれからは大量生産大量消費の時代になるだろう。地球の歴史がそうだったように。

 そしてその発明者は大金を手に入れる筈だ。ミハエルとは何だ? 本当に元地球人なのか? 頭の中では今まで入手した情報がグルグルと回っていた。

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