何処か置いて枯れた世界の中で。
目が、覚めた。
カーテンが開けっ放しにされていた外を見る。
まぶしい。
「朝…か。」
七月、高島時人。
何処か置いて枯れた世界の中で。
ご飯を食べているとえらく機械声なアナウンスが流れている事に気づいた。
テレビなどつけた記憶もない。
朝ごはんを食べながらもテレビを見る。
『今超能力者という夢のような人が何人も現れており…』
『超能力を手に入れたければ能力者を殺せ。』
…こわ。
必死に走って逃げる人や殺され、その後すぐに殺した人も殺される映像が流れたりしている。
「…殺されるんならなりたくないな。」
だって俺は平凡な人間なんだ。
「俺がなったらすぐ死にそう…」
ろくに飯も食ってないもやしっ子。
本当に無理だこうゆうのは関わりたくない。
朝ごはんを食べ終わり茶碗を片付けた。
ワイシャツをきてその上に校則ではあまり許されない水色のパーカーを着る。
「暑いし、腕まくりしよう。」
スクールバックを肩にかけ外へと繋がるドアに手をかけた。
「あ。」
振り向きそっと、誰もいない部屋につぶやく。
「いってきます。」
いつも通り歩いていると黒猫が通った。
俺の足に擦りついてくる。
しゃがんで頭をなでた。
「いってきます。」
誰かの走ってくる音がする。
「きゃー!!!ひったくりよー!!!」
「じゃあ猫ちゃんまたね。」
誰かが素早い早さで横を通り過ぎていった。
よく走る人だなあ。
一つあくびをする。
今日はよく眠れたと思ったんだが。
のんびり、歩いた。
「みんな、おはよー。」
クラスに入るとざわついていることに気づいた。
大方今朝の報道の事だろう。
みんな物好きだなあ。
友達が近づいてきて俺の目の前で熱弁をはじめる。
「すげえだろ!?時を止める能力だぜ!?」
やばい、話を聞いてなかった。
時を止めるのがなんだっけ。
「…あ、うん、すごいね。」
「反応うっす!!!」
そんなこと言われたって。
「でもさ、殺されちゃうかもしれないんでしょ?」
友達は固まった表情をした。
「じゃあいらないや。」
軽く笑ってみせる。
そんなのごめんだもんね。
「時人ー。」
「何〜?あ、ごめんまた後で話は聞くよ。」
冷や汗をたらたらと流した顔を俺はみなかった。
「なあ、あいつの能力みんなで奪おうぜ。」
廊下に出されるとクラスの不良に近い人が話しかけてきた。
「めんどくさいからいーや。」
もう下校時間になるなあ、そういえば。
「へぇ…断ったらどうなるかわかってんの?」
帰りにマックでもよろうかな。
「どーするって…」
「殺すなら殺していいよ」
別に、それが運命ならしょうがないし。
「は、はぁ…!?お前いみわからね」
「じゃあね〜」
「なんで笑ってんだよ…。」
「さよーならー」
クラスをでる。
「今だ!殺せ!」
「時人」
「助けて」
「時人!!!!!!!」
廊下を歩く。
今日はやけに人が少ない。
前を灰髪の人が歩いてきていることに気づいた。
そっとすれ違う。
…何故か、足が止まった。
「…あれ?」
もう、灰髪の人はいなくなっていた。
「まあ、いいか。」
「今日の晩は何にしよっか。」