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歪んだ時空は、僕自身だったのだ!
愕然とする。選択肢は2つ。
17歳の薗子のことを忘れるか...?
それか、向こう側へ自分が行けば....。
向こうか、こっちか。
どちらかの僕が消え失せる。
歪んだ時空がひとつ、消え去る。
昔から「神隠し」なんて言われている現象だ。
でも.....逢いたい。
17歳の薗子に。
僕は、叶わぬ賭けに出る事にした。
「薗子....」
なに?と、のんびりした声で
17歳の薗子は、答えるので
僕は、なんとなく微笑んだ。
こんな時でも、自然な薗子が好きだ。
「うん、”そっち側”の僕は
どこに居る?今...。」
僕は、”彼”のアドレスを聞き出した。
前におおよそ聞いてはいたが、
向こうの彼は僕と、違う。
そこに、何か鍵があるのかもしれない。
僕は、電話を切り、身支度をして
その住所に行って見る事にした。
窓から空を見上げると、真っ黒な雲が
たちこめている。
嫌なイメージだ。でも、なにかが起こるかもしれない。
そんな期待も感じられる、へヴィなウェザー。
わくわく、と
胸騒ぎに入りまじったような
不思議な感覚を覚えて、僕は
彼の家に向かった。
入り組んだような路地のむこうに
彼の家はあった。
場所に見覚えがあるが、しかし
そこに(向こう側の)自分が
住んでいるとは思いもしなかった。
ここが、時空の歪み...だと言う保証もない。




