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ただ、髪が少し伸びているかな、くらいの感じ。
実際、17歳からずっと眠っていたのだから
何も変わらないのかもしれなかった。
眠っている間には、記憶の時間・記憶の空間
その何れも、変わっていないのだから。
「.....あな、た、....は。」
薗子は、静かに僕に声を掛けた。
その声は、ついさっきまで聞いていた17歳の薗子と
-当然だが-同じだった。
その声に、僕はときめきを感じる。
しかし、それは.,,,,目の前の薗子に対してではなく
記憶の中の、17歳の薗子への想いであるが
僕は、錯覚してしまいそうになる。
21歳の薗子の事は、何一つ知らないと言うのに。




