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「うん、たぶん、だけど。僕は、今年の春に、このスマート・フォンを貰った。
七夕の夜、薗子の夢を見たんだ。そうしたら.....
不思議に、このスマート・フォンの中が、君とつながった。
君が、僕の知らないうちに僕の部屋に来ていて、傘を置いていってくれたり、部屋を片づけてくれたりした。
たぶん、君の世界と、僕の世界が、この、スマート・フォンを通すとつながるんだ。」
「....それじゃ、私たちはもう、逢えないの?」
薗子は、悲しそうな声でそう言う。
「いや....君の世界には、もうひとりの僕がいる。
その彼とは、いままで通りさ、ずっと。」
「...そうじゃなくって。」薗子は言う。
「あたしは"あなた"の事を言ってるの!」
強い口調に、僕は驚いた。
少し考えて、僕はこう答えた。
「僕は、僕さ。そっちの"彼"も同じ筈...。」
間髪を入れず、薗子は「違う!違うわ。あなたは。彼と違う。
名前も、通ってる学校も同じだけど、どこか違う。
訳分からないのよ、わたしも。だけど、あなたに恋してる...。
不思議な気持ちよ、とても...。」
薗子は、泣いているみたいだった。
「こんな気持ち、変だと思う。だけど...こっちの彼は
あなたみたいに優しくないし、日記もつけたりしない。
同じ人だけど、違う人だわ。わたし、あなたに逢いたい...。」




