錯視
目の前に一枚の写真があります。あなたはそれを見て奥行を感じるでしょう。でも実際は一枚の紙に過ぎません。ならば目の前に、もしくは目の中に、刻々と情景の移り変わるスクリーンがあるだけだとしても、あなたはそれに気づかないでしょう。もしかしたら世界はあなたを包み込む殻の内側に張り付いているものなのかもしれません。そうだとしたらあなたは宇宙にただ一人です。世界を映し出すのはあなたです。でもあなたはそれに気づきません。あなたは無能な神です。でもあなたにそのことを確かめる術はありません。ならばあなたの見ている世界こそがあなたの本当の世界、ということでいいのではないでしょうか。たとえそれが思っているものと違ったとしても。