玄関先
掲載日:2026/07/18
友人の安田さんの愛犬は、シェパードの中でも大きな体格の犬だった。
その大きな犬は、夜はいつも玄関のドアを開けたすぐ内側で寝ていた。
ゆえに夜遅くに安田さんのご主人が帰って来ると、暗い玄関先でご主人はよく犬に躓いて転倒しそうになった。
「こないだもひっくりかえりそうになってね。……あいつ、亡くなってもう何年も経つのに」
ご主人は苦笑していた。
「でもひっくりかえりそうになるのは私だけじゃないんですよ。こないだ、昼間にセールスが来た時、やっぱりひっくりかえりそうになって。何もないところで。びっくりしてましたよ、セールスにきた人は『確かに何か大きなものがあったみたいなんだけど』って」
安田さんは一度もひっくりかえりそうになった事は無いらしい。愛犬が生前の頃から。




