06_庭
朝早く、リーナが窓を叩いた。
最近はおやつごろまで練習して、その後リーナは秘密基地の場所を探してくるようになった。
その分、リーナは早く来るようになってしまった。
朝は寝ていたいな。
「ハツカ! おはよう! 今日は何からしよう。」
窓を叩く音で目を覚ました。
飛ぶのが楽しいのか、2階の窓から声をかけてくる。
正直やめてほしい。
リーナが窓をさらに叩く。
「起きた、起きたから。」
と言いながら窓を開ける。
「リーナ、窓からはもうやめてよ。
リーナの父さんに怒られるんじゃないの?」
「えぇ、いいじゃん。
空飛びの気持ちいいんだから。
パパも説得して、家より高く飛ばないことで
納得してもらったから。」
「もう、こっちの身にもなってよ。」
そう言いながら、準備をする。
「おじゃましまーす。」
「今日からなんだけどさ。
土魔法だけ練習しようと思うんだ。」
「え、なんであきらめちゃうの??」
「いや、そうじゃなくて、
リーナの風魔法みたいに
僕の土魔法を鍛えていきたいんだ。」
「そっか、分かった。」
不満そうに言うリーナ。
なんで不満なのか分からず、リーナを見た。
「あー、私、土魔法苦手なんだよね。」
「あ、そうなんだ。知らなかった。
まぁ、同じ属性で練習する必要はないと思うし、
練習の準備しようか。」
「はーい。」
準備しに1階におりると、母さんが朝ごはんを用意していた。
「リーナちゃん、おはよう。
今日も元気そうね。
朝ごはんは食べた?」
「リナさん、おはようございます!
食べてきました!」
「あらそう。ハツカはここにサンドウィッチとスープ用意したから、食べてからにしなさい。
あと、桶乾かしてそこにおいてあるから。」
「ありがとう。」
練習では部屋を汚さないように桶を用意する。
大体は水から初めて、火の練習で何かあった時に水魔法で桶にためた水を使うらしい。
まぁ、土魔法しか使えていない僕にはあまり関係がない。
「リナさん、リナさん。
今日から土魔法頑張るんだって。」
「あらそうなの。リーナちゃんはいつも通り?」
「私はいつも通り四属性するつもりです。」
リナとリーナって女性の名前ではよく使われるのかな。
僕は困らないけど、二人並んでて、ほかの人が読んだとき聞き間違えするだよな。
意外とちゃんがつくかつかないかで判断つくか。
とか考えながらご飯を食べ終えた。
「母さん。土魔法って作った石とか消せたりするのかな?」
「土魔法はほとんど使うことがないから分からないわね。
苦手な魔法だし、詳しくはないわ。でも石を土に変えたりとかはできるかもしれないわね。」
なるほど。
「この村に土属性が得意な人はいないの?」
「いないというか、分からないわ。壁とかの補強の時にしか使わないから、あまり使ってる人を見ないのよ。
お隣さんだったトムさんも今はもういないし。」
「トムさんには昔見せてもらったけど、もう覚えてないな。」
トムさんは土魔法が得意で、家の補強や道の整備を請け負ってお金をもらっていた気がする。
僕の土魔法を褒めてもらった、7歳だったかな。
あの時は嬉しかったな。
「そうだよね。ありがとう。」
「いいえ。じゃ、二人とも頑張ってね。」
「「はーい。」」
桶をもって2階に移動する。
「ハツカはなんで石を消したいの?」
「この前の作った柱、掃除大変だったんだよね。」
「あ、そういうことね。」
「そう。だから消せるなら消したいし、土に変えたりとかできるならしたいよね。」
「今日午後、少し村の人に聞いてきてあげる。」
「え、いいの? ありがとう。」
「どういたしまして。」
土魔法でいつも通り、石や土を作り出す。
いつもと違うのは、石を土にしようとしてみたり、消そうとしてみたり、どうすればいいか分からないけど、
イメージして魔力を込めてみたりした。何も起きないんだけどな。
そういえば、土魔法で作った石や土って沢山作ってるけど、村が溢れないのかな。
水も作り過ぎたら陸地が減ったりするのかな。
やりたいことができたら、知りたいことが沢山だ。
本が欲しいな。
練習を終えると、リーナは秘密基地にできそうな場所を探しに行った。
僕はリーナが出かけるのを確認すると、庭に出るようになった。
外に慣れる練習をしている。
最初のころは、村の人に声をかける度に気分が悪くなった。
そのたび、家に避難する。
気分が悪くなる回数は減ったが、村の人が会話しているところを見ると、
自分のことを何か言われているのではないかと手が震える。呼吸が乱れる。
下を見て呼吸を整えようと深呼吸する。震える手をつねる。痛みじゃごまかせない。
めまいがしてくる。家の中に移動する。
この繰り返し。何度も何度も。
母さんは庭で育てている野菜や木の手入れ、洗濯物を干したりと家事をしながら、こちらを気にしている。
僕がつらそうな顔をしていると思うが、特に声をかけてはこない。
多分、どうしていいか分からないんだろう。
僕もどうしていいか分からないんだし。
そんな一日を続けている。
きついな。明日は家にいようかな。




