04_土魔法
練習をはじめて一か月
相変わらず土魔法以外はつかえない。
「ハツカ~!練習するよー!」
今日も元気な声が聞こえる。リーナだ。
「おはよう。今日も元気だね。」
「げんきだよ!今日はどうする。」
「今日も火から練習しようか!」
そう伝えると
「今日は土魔法を鍛えない?」
それもそうだろう。一か月成果が出ない。
いつか言われると思っていた。
やっぱり土魔法以外は使えないのかな。
そういったことを考えていると
「ごめん。土魔法以外使えないって思ったんじゃなくて、やっぱり土魔法がどのくらいできるか見てみたくて。」
そういえば、前も見てみたいと言っていたのを思い出した。
自分でもやったことはない。
でも外はなぁ。。
「ごめん。もう少しだけ待ってくれる?」
「ううん。私こそごめん。そしたら火からやろう!」
そういっていつも通り練習を始める。
僕はありがたいなと思った。
同時に外に出れ無いことに対してどうにかしたいなとも思った。
そうして練習を開始する
リーナの魔法は四元素ともに上達しているのが分かる。
特に風魔法は驚くほどだ。
昔、外に出ていた時にそんなことができる人見たことなかった
最初のうちは家事で空飛ぶことはないから見たことないとおもっていたが、どうやらそういうわけではないらしい。
母さんも風が得意だがびっくりしていたし。
リーナの父であるガルドさんも一か月くらい前にリーナが高く飛んでいたのを目撃し、リーナ以外いないと叱ったらしい。
リーナが怒られたことに対してぼやいていたのを覚えている。ごめんと思いながら僕は聞いていた記憶がある。
「ハツカの土魔法はいつ見てもすごいね」
「リーナの風魔法の方がすごいよ」
リーナは苦笑いをしながら
「土魔法で今作れる最大の物ってなに?」
「大きなものは作ったことがないんだよね。前も言ったけど持ち出すのが大変で。」
「ハツカママにはやってもいいよって言ってもらったよ」
ハツカはびっくりした。いつの間に。というかいいの?
「え、そうなの?」
「うん。風魔法と土魔法でで細かくするって。」
「あ、そうなんだ。」
土魔法で細かくするって何??と思いつつもまぁ良いかと思った。
「してもいいならやってみるか。」
「物は試しでしょ」
他人事に感じるなと思いつつ、僕は手のひらをくっつけた。
深呼吸。魔力を流し込む。土のイメージ。
ゴゴゴ...
床に作っているのか変な音がなっている。
あっという間に縦横1メートル高さ20センチくらいの高さの石が手を押し上げる様、床に生成される。
やったことなかったが、手を生成した石に付けなくても意識だけでもっと高くできそうだ。
何なら最初の床に手を向けるだけでできそうだなと思う。
「すごい!すごい!もっと高くできるの?」
「うん」
もう一度集中する。もっと高く。生成した同じ石?に魔力を向ける。
僕は魔力を意識するために目をつむって力を入れる。
ゴッパキパキ バキ
嫌な音が響いた
「ハツカ止めて止めて、、家が壊れちゃう。。」
リーナの声が聞こえ、魔法を止めた。
目を開けると、もう石とは言えない石柱?が目の前にたっていた。
その光景に僕自身が唖然としていると
「ハツカ、本当にすごいよ!」
リーナが目を輝かせている。
「できると思っていたけど柱ができるなんて思わないよ。」
と自分自身ちょっと引いた。
多分まだできるというか、魔力を使い過ぎたという感覚はない。
ふと思った。
この柱の上に自分を乗せて土魔法で高くしたら、飛んでいるリーナと同じ景色がみれるのかなぁ
もしそうなら見てみたい。高いとこは今までとは別の意味で怖いけど
「ハツカ、ほんとにすごいよ!これどこまで高くできるんだろう?
飛んでいる私と同じ景色見れるぐらい高くできるのかな?
あ、ごめん。無意識だった。」
ちょっとしょんぼりしているが、考えてることは一緒みたいだ。
そのことに少しうれしく感じる。
「それはさすがにわからないな。」
「そっか。」
「でもいつかはそれぐらいできたら面白そうだなっておもうよ。」
「そうだよね!!そうだよね!!そうだよね!!」
「うん」
リーナは嬉しかったのか繰り返す。
自分でもびっくりなほどに前向きな返事が出てきた。
それが今のほんとの気持ちだなとも思った。
そんなこんなしていると、リーナは柱をさわってみる。
「すっごく滑らかだよ。表面がツルツルしてる」
「...そう?」
「うん。普通の土魔法の石って、ザラザラしてたり、デコボコしてたりするでしょ? でも、ハツカが作る物は、まるで磨いたみたいに綺麗」
言われて、自分の作った石を見る。
確かに、表面が滑らかだ。
「...意識してなかった」
「無意識にできちゃうんだ。すごいね」
リーナが笑顔で言う。
今まで「土魔法だけ」と落ち込んでいたけれど、リーナが褒めてくれると、少し嬉しくなった。
「ねえ、ハツカ。これだけ土魔法が得意なら...もっとすごいこと、できるんじゃない?」
「すごいこと?」
「うん。例えば...秘密基地とか!」
秘密基地。その言葉に、ほんの少しだけ僕の心が少し跳ねた。
昔作った秘密基地はどうなってるんだろうさすがにもうないか
そう思いながらあえて聞く。
「秘密基地...?」
「そう! 私たちだけの特別な場所。ハツカの土魔法で作って、誰も入れない安全な場所!」
誰も入れない。安全な場所。
その言葉が、胸に響く。
「でも...それって、外に...」
言いかけて、言葉が詰まる。外。森。魔物。
リーナは僕の顔を覗き込んだ。
「大丈夫。ハツカが外に出れるようになった時のために
私が絶対に安全な場所を見つけてくるから。魔物なんていない、人目もない、静かで隠れた場所」
「本当に...?」
「うん。ハツカを危ない目に遭わせるわけないよ」
リーナの真剣な目。もちろん嘘をついていない。
「それに、ハツカが作った場所なら、絶対に安全だよ。だって、ハツカの土魔法、こんなに大きな柱を作れるんだもん。壁とかだって作れちゃうよ。」
自分で作った場所。完璧に安全な場所。
もしそれが本当にできるなら...
でも、外に出るのは怖い。
「・・・・」
僕は黙り込んだ。
リーナの自分の発言に不安を抱いたのか様子をうかがっている。
同時に今回はいけると思ったのか、期待に満ちた顔を見ると、断りづらい。
でも、外は...魔物は...人の目は...
「ハツカ、無理しなくていいんだよ」
リーナが静かに言った。
「ただ、いつかハツカが外に出たいって思った時に、そういう場所があったらいいなって。今すぐじゃなくていいの」
今すぐじゃなくていい。
その言葉に、少しだけ肩の力が抜けた。
そうか。今すぐ外に出なくていいんだ。
でも、いつか...いつか外に出たいと思った時のために。
秘密基地という単語につられたわけではない。
ただ、今日、自分の土魔法で柱を作った時、少しだけ楽しいと思った。
リーナと一緒なら、もしかしたら。
「...わかった」
僕はゆっくりと答えた。
「すぐには無理だけど、頑張ってみる。まずは...庭に出るところから」
「うん! じゃあ、私が完璧な場所を探してくるね! ハツカが準備できるまで、ずっと待ってるから!」
僕の答えに、リーナが笑顔になった。
練習とは別に、まず庭に出ることから慣れてみよう。
一歩ずつ。焦らなくていい。
そう思えるのはリーナのおかげだろうと、彼女の明るい笑顔を見て自分も嬉しくなった。




