10_壊れた窯2
「試してみようかな」
僕は赤茶色の土を生成する。
灰色の土の時より多く土が生成された。
なんで、灰色の時より多いんだろう。
同じくらいの魔力を込めてるんだけどな。
そう思いつつ器に土を入れて同じ手順で作業を進めていく。
「リーナ、また水をお願い」
「うん!」
水を少しずつ混ぜていく。
灰色の土とは明らかに違う。混ぜた感触が、ねっとりとしている。
混ぜているとどうも、水の量は少ない方が良いみたいだ。
これなら、いけるかもしれない。
石板のヒビ割れに丁寧に埋めていく。
奥まで土魔法で押し込む。
「リーナ、火魔法でゆっくり乾かして」
「もちろん!」
リーナが慎重に火魔法を使う。
じわじわと水分が蒸発していく。
乾燥した土を指で触ってみる。
崩れない。しっかりと石板に張り付いている。
「できた……!」
「本当!? すごい、ハツカ!」
リーナが嬉しそうに飛び跳ねる。
「これなら、窯も直せそうだな」
フランツさんが安堵の表情を浮かべた。
窯のひび割れに目を向ける。
赤茶色の土を大量に作り出し、水と混ぜていく。
「ハツカ、手伝うよ」
リーナが隣に来る。
「ありがとう。じゃあ、水の調整お願い」
二人で協力して、ヒビ割れに土を詰めていく。
深いヒビだから、何度も土を足す必要がある。
土魔法で奥まで丁寧に押し込み、表面を滑らかに整える。
「よし、リーナ、乾かして」
「うん。ゆっくりね」
リーナが優しく火魔法をかける。
時間をかけて、じっくりと乾燥させていく。
僕は緊張しながら見守る。
完全に乾いた土を触ってみる。
硬い。しっかりと窯と一体化している。
「成功だ……!」
「やった! ハツカすごい!」
リーナが僕の手を握って喜ぶ。
「ハツカくん、本当にありがとう」
フランツさんが頭を下げた。
「これで明日からまたパンが焼けるよ。お礼に、今から試しに焼くパンをあとで持っていくよ」
フランツさんが窯に手をかざす。
火魔法で、修理した部分をゆっくりと焼き固めていくつもりなのだろう。
さすが火魔法が得意なだけある。
「い、いえ、お、お礼なんて……」
作業に集中していたからか普通に会話できていたが、うまく声が出せない状態での会話に戻ってしまった。
フランツさんも作業中に声をかけることはあまりなかったから気を使っていたのかもしれない。
少し気まずいな。
「遠慮しないでくれ。君がいなかったら、しばらくパンが焼けなかったんだから。次の商人が来るタイミングで職人には来てもらうよう手配するから、それまでに何かあったらまた頼む」
フランツさんが優しく笑う。
帰り道、リーナが嬉しそうに話しかけてくる。
「ねえハツカ、すごかったよ! 私、誇らしかった」
「リーナが手伝ってくれたからだよ」
「えへへ。また誰か困ってたら、一緒に助けに行こうね」
「……うん」
少しずつだけど、外の世界に慣れてきている気がする。
リーナがいてくれるから。




