破
卒業式が終わった。
こむぎは卒業式を見た母と一次合流。しかし、すぐに仕事があると仕事場へ戻っていった。こむぎは途中まで玉穂、伊久実と帰り道の同じ同級生たちと途中まで一緒に帰った。
お店に戻って来た後、こむぎ。今日は卒業式だったからと一先ず休みたいところだが、店主(仮)のこむぎはそのような暇はない。しかし、今日は夜に団体予約が入っている。その為、いつもよりは息抜きができる。
働く用意をしたこむぎは少しの時間商いに励む。
「ありがとうございました~~。また、お越しくださ~~い」
今日、最後のお客さんを送った後、こむぎはこの後行うことの為に用意を行う。
まず、外の営業中の看板を準備中にする。そして、看板近くには貸し切りというラミネートフィルムで覆ったしたお知らせを設置した。
こむぎは夜から玉穂、伊久実と参加可能な友人達、地域の人たち、そして保護者達で謝恩会をむぎまめ製麵家で行うため、その設営を行っていた。
むぎまめ麺生家は麺類がメインのお店の為、小回りが早く、多くの方々が食事を同時刻で受け入れ可能にするために一階の店内は広々としており、仕切りが無く見渡しやすい。度々、オードブルなどを揃えて会食を開いたことも何回かあるため、今回はむぎまめ麵生家が選ばれた。
こむぎは卒業式でしんみりしてしまった気分を変えてくれること、また友人達と知り合いの地域の人たちと食事ができるととても嬉しく思っている。こむぎは張り切って準備を行う。
設営準備から二時間経過。
ある程度会の準備も整った現在。外からは人の気配があった。
「ガラガラガラ」
むぎまめ麺生家の出入口が開かれた。
「むぎちゃん、こんばんは」
そこには甘味処・玉月で提供している甘味を持ってきた玉穂だった。
「こんばんは、玉ちゃん」
「ご所望の品を持ってきたわ」
「ありがとう~~」
「どうってことはないわ。それに今日は特別に中々手に入らない金箔付きの和菓子と希少な赤米で作ったお赤飯を持ってきたわ」
この会に気合を入れているのはこむぎだけではなく、その後もその気合の入りようは持ち物から現れていた。
一緒に持ってきたショルダーバッグの中からは古典的なパーティーグッズが入っていた。大きい鼻と白髭に変な眼鏡がついたもの、今日の主役襷、告白をするカードゲームなどが入っていた。
玉穂の到着から十分後。
外からは車のエンジン音がした。それも中型のような音だった。店前に着き、エンジン音が消えた。
「後ろのもの持ってってくれ~~」
男性の声。なんとなく聞き馴染みがある声。
「は~~い。あ!これ持てないから父さん持ってって。あ~~、子供が軽いの持たないで!!」
次は女性の声。何処か友人に似ている。
「は~~い」
その返事は確実にこむぎと玉穂の親友のものだった。
「ガラガラガラ」
「は~~。おも~~い!!」
伊久実が勢いよく入って来た。
「わ~~、大荷物だね。お疲れ様、伊久実ちゃん」
こむぎが労う。
「長時間の調理プラスこの量……。絶対に満足させてやるんだから!!あ、そうだ。こむぎ、お客さんもう来てるよ」
そういうと、後ろからスニーカーとパーカー姿の男性が入って来た。
「こんばんは、こむぎちゃん」
刑事さんも予定時間よりも早めにやって来た。
「あ、刑事さん。今日は早かったんですね」
「念のためと思って、今日は有休ももらったんだ。改めて、卒業おめでとう、こむぎちゃん」
「ありがとうございます」
「卒業したのは私達もそうだけどね~~」
さらに荷物を持ってきた伊久実からツッコミを受けた。
「あはは、そうだったね。おめでとう、玉穂ちゃん、伊久実ちゃん」
「ふん!!それでよし!!」
伊久実は腕を組み、ドヤ顔をした。
「伊久実、刑事さん相手に偉そうな態度をとらないの」
後ろから伊久実の頭めがけて軽くチョップを入れた玉穂。
「ふぁ~~、玉穂ひどい~~」
時間が近づくにつれて続々と参加者が集まっていく。
そして、提示時刻となりお店のカウンター近くに立っていた伊久実の父が言った。
「お集まりの皆さん。皆さん揃ったようなので、玉穂ちゃん、伊久実、こむぎちゃん。地域の皆様主催の稲荷餅小学校卒業を記念いたしました。謝恩会を開催いたします」




