弐拾参
冬至が過ぎ、夏祭りで使った空き家は不定期でこむぎ、玉穂、伊久実の三人で使うように許可をもらったので、お正月の参拝者をターゲットとしたお店の営業を進めるために準備をしている。
「お正月は夏祭り以上に長期間だけど、時間的には年越し以外はあまり大勢は来ないと思うから、私達も主題があるから、それなりに休めるように頑張りましょう」
玉穂は二人に冬休みの営業について話し合った。
冬休みが始まり、今回も町中に満遍なく張り紙式の広告を貼らせてもらったり、自分たちのお店で貼ったりした。
今回は各家庭でお正月の準備で忙しいのか、行列は起きない。
しかし、一年使い古したお守りなどをお滝上げするボックスに入れた帰りのお客さん達がお店にやって来た。
年越しの夜。
伊久実が年越しはやっぱ、歌合戦でしょというので、自宅から持ってきた小さいながらも移りの良いテレビをお店に置き、お客さん達と一緒に鑑賞できるようにセットした。
「紅組が勝利!!」
テレビから勝敗を決めるアナウンスがあった。
「やったーー!!」
伊久実がカウンター席に座りながら見ていた。
「そんなに喜んでも私たちには関係ないわ。その後の神仏仏閣めぐりの方が大事よ。今年は銀月が出ますように!!」
テレビに向かい、玉穂は神にお願いしるように二拍手した。
「どこが出ても、新年を迎えれば嬉しいから~~」
こむぎは両手を顔で支えて眠そうな顔をしていた。
歌番組が終わった直後、外から誰から入って来た。
「はい、いらっしゃい……」
「あーー、いたいた」
そこには伊久実の母親が来た。
「みんな。折角、境内にいるんだから年越しの鐘くらいついときなさいよ~~」
そう言われ、玉穂、伊久実。そして、ほとんど寝ているこむぎが風邪をひかないようにと寝袋のようなジャンバーを着せて玉穂と手をつないでお店をパートの人達に任せた。
「うわ~~、人がいっぱい」
伊久実が参拝客の数に圧倒された。
「流石、全国屈指の神社ね」
玉穂も現在の状況に地元の神社を感心した。
「羊がいっぱ~~い」
こむぎには人が羊に見えている。いや、それは寝ぼけて言っているのだ。
三人とも伊久実の母に着いていき、除夜の鐘を突くための行列に並ぶことができた。
そして、新年を迎える鐘が鳴り響いた。
伊久実の母、玉穂、伊久実。そして、二人に支えられながら寝ぼけているこむぎを支えて除夜の鐘を突いた。
こむぎが目を覚ました時には両端に玉穂と伊久実が一緒に寝ていた。
それは、冷たい空気が辺りを凍らせている銀月神宮・外宮内の空き家二階部分で寝ていた。
数日後。お正月も終盤に差し掛かっていた。
冬休み前に刑事さんから言われたことがあったとこむぎは思い出した。
「応援で境内付近にいるから、遊びに行くね」
こむぎは少々張り切って仕込みや営業を行っていた。




