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しらたま物語  作者: 忽那 和音
-麦荳こむぎの章- 秋の章
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拾陸

 序盤の過密スケジュールから家とお店の上下往復の毎日を送ったこむぎ。その間も習い事をこなしていたが、小学生として最後の自由研究と新聞の選択は非常に簡単なものだった。こむぎは新聞を選択し、お祭りについて書いた。もちろん、下部にはお店の広告を貼った。

 それは同じく新聞製作を選択した玉穂も同じだった。

 実際に使われている広告を使おうとするとお金が発生する恐れがあったので、二人とも実際に使われているものと類似した手書きのものを描いた。


 ある日の学校内で。

「は~~。ねえ、二人とも~~」

 伊久実が玉穂とこむぎに行った。

「何、伊久ちゃん?」

 こむぎが反応した。

「私ね~~、山に山菜とか取りに行きたいんだよね」

 伊久実がつぶやいた。

「いいじゃない。行ってくれば?」

 玉穂は少々冷たい態度で言った。それはいつもの冗談だろうと思ったからだ。

「冷たいな~~。同業者なら自分たちのお店のために一緒に行こうよ~~」


 伊久実は夏休みの宿題として書いた自由研究に好成績を収めた影響で、日頃から美味しいごはんを求めてやってくるビジネスマンや力仕事の利用が多い飯森食堂にさらに夏祭りの影響で美味しいごはんを求めた新規顧客達と伊久実を見に来たお客さん達が多く訪れ、開店開始前から大行列が起こり、閉店間際まで店内は大盛況。

 今日まで、仕事からのストレスから日に日に伊久実の正気が無くなっていく姿を常連のおじさん達は心配して友達と一緒に山へ山菜取りやタケノコ、松茸採り。そして、栗拾いをしに行こうと提案された。


 後日。

 三人は待ち合わせをし、電車、バスを乗り継いで待ち合わせとなる道の駅へ向かった。


 食堂の常連さん達と知り合いの山の持ち主。そして、こむぎ達三人で山に入った。

 道中、険しい道のりだった。横はすぐ崖のところや急斜面。完全に登山をしている気持ちになった。

 しかし、歩いたかいがあったと感じた。

 それは道中、様々な秋の山菜が広がっていたからだ。

「これ採っていいの?」

 伊久実が仙人に聞く。

「ああ、他にも生えている場所があるからな」

 持ち主の仙人は山一つまるまるを持っている為、他にも採取する場所がいくつもあるという。

 伊久実とこむぎはお店で使おうと常連さん達と確かめながら、採取する。


 その後、山を下り松茸、タケノコ。さらに下り、栗を収穫した。


 秋の山から帰って来たこむぎ達。常連さんの車に乗せてもらい、飯森食堂前に降りた。

「今日はありがとうございました」

 伊久実は常連さんへ挨拶をした。

「いやーー。こちらこそ、休み休みね」

「はい」

 常連さん所有の車は後にした。

 事前に飯森食堂に用意されていた荷車にお店で使う分の食材を乗せた。

「それじゃあ、二人とも今日はありがとうね」

 伊久実は二人に言った。

「こちらこそだよ!!」

 伊久実も伊久実もお礼を言った。

「伊久実も学校が小学生の本職なんだからちゃんと休むんだよ」

 玉穂は疲れかけていた伊久実を気にかけた。

「は~~い」

 伊久実はその気持ちを受け取った。

「それじゃあ!!」

 玉穂、こむぎは各お店へ帰って行った。


 夕焼けが稲荷餅の街並みを照らす。朝から移動をした長い一日。

 しかし、彼女たちにとっては新たな食材やこの時期らしい食材の採取をすることができた。


 こむぎは山菜採取だけではなく、道の駅の人たちからサービスとサツマイモなども貰い、うどんや天ぷらの幅が広がりそうだと感じた。


「ただいま~~」

 こむぎは歩いて数分で自分のお店、むぎまめ麵生家に着いた。

「あら、おかえりなさい。むぎちゃん」

 声をかけてきたのは長く、むぎまめ麵生家に働くベテランパートの女性だ。

「これ、今日採って来たので調理をお願いします」

「まぁ~~!!いっぱい貰って来たのね。去年みたいなのでいい?」

「はい、お願いします」

「待ってて、去年のメニュー表出してくるから」

「私も着替えた後に手伝います」

 こむぎは上の階へ行き、虫が張り付いていないようにシャワーを浴びた。

 綺麗になった体をバスタオルで拭き、お店で着る服に着替えた。


「お待たせしました。上から秋メニューを持ってきました。外のメニューも設置してきます」

 こむぎは店内中に秋メニューを設置し、事前に作っておいたポスターも貼った。

「よし!!」


「むぎちゃん。お客さんよ」

「はい!!」


 後ろを振り替えり、出入口近くには仕事帰りで来店したイケメンの刑事さんがやって来た。

「いらっしゃいませ」

「今日は何かと忙しそうだったんだね。さっき、伊久実ちゃんと会ったんだ」

「あ~~、はい。さっきまで山で山菜取りとかしていまして……」

「だから、いつも見ないメニューだなと思ったのか……。そのメニューって、もうやってる?」

「一応、来週から始めるのですが、刑事さんは常連さんなので、今回は特別にお作りしましょう」


 こむぎは炊事場へ行き、一年ぶりに作る秋メニュの定番。山菜うどんと秋の天ぷらを作る。

 秋の天ぷらにはサツマイモ、舞茸などをのせる。

「お待ち同様です。秋のうどんと天ぷら定食です」

「わ~~。今日も美味しそうだね。それではいただきます」

 刑事さんはまず、うどんを啜る。次に器を持ってつゆを口にする。

「はぁ~~」

 箸は止まることがなく、サツマイモ天に先を伸ばした。

 その後も刑事さんの手が止まらず、十分程度で定食が完食した。

「は~~。美味しかったよ。ありがとう、こむぎちゃん」

「いいえ、あ!今、お茶持ってきますね」

 こむぎは満足そうにお茶を飲む、刑事さんの姿を見て嬉しくなった。


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