壱
古くから多くの人々、豪族によって政が行われた。今でも歴史的建築、古めかしい景観を行政だけでなく、市民達は守っている。人々が維持しきた雰囲気を求め、代わる代わる。通年通して賑わう町・稲荷餅。
北東地区にはこれまた長く暖簾を構える甘味処がある。甘味処・玉月。
一歩。足を踏み出せば、砂糖の甘い誘惑。こだわりのお茶の豊かな香りが広がる。
「はい!お待ちどうさまです。甘味処・玉月こだわりの緑茶。月露と森盛あんみつです」
少女は円形のお盆に乗せた緑茶と大きなあんみつを客の前に持ってくる。
「お~。これだよ!!これ~」
白髪混じりの男性客のもとへ注文をしていたものを置いた。
「ご注文は以上でよろしいですか?」
「大丈夫だよ」
「それでは、ごゆっくり」
「ありがとう。たまちゃん」
彼女はこの店で働く白月 玉穂。十二歳というだが、この店の店主(仮)である。
店主(仮)と言われているが、(仮)とついているので正式な店主ではない。
所謂、店主代理と言ったところだ。
本当の店主は、玉穂の父。だが、彼は今海外に出ている。
しかし、玉穂が店主として責任を負うということのは、未成年の彼女には背負いきれない重役。
なので、甘味処・白月は、玉穂以外にも、従業員が三人が働いているのだ。
店の大きさは、そこまで大きくはないので、玉穂を含めた四人で店を営めるのだ。
「ふー。終わった~!」
「たまちゃん。おつかれー!ねぇ。帰りにうどん、食べてかない?」
「いいよ~」
そして、玉穂は明日も店の経営に勤しむのだった。




