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しらたま物語  作者: 忽那 和音
-白月玉穂の章- 夏の章
13/51

拾漆

 甘味処・玉月の店長(仮)の白月 玉穂が通う稲荷餅小学校は歩いて十五分程度の場所にある。

 稲荷餅に住む住民のほとんどはこの小学校の出身。現在は先祖代々住んでいる古民家や長い歴史を積み重ねてきたお店などが立ち並び、銀月神宮付近の住民のほとんどは社会人がほとんどとなっている。

 その為、市政は学区を広げて最寄りの駅までと範囲を広げ、現在も学校運営をしている。


 ある日の三時間目。

 この時間は総合的な学習の時間として学校運営に必要な作業や学級の交流などを行っている。

 今回は全員机に座った通常の座学的な配置となっている。

 生徒前方には担任が立っている。

「みなさん、夏はまだだと思ているかもしれませんが、毎年恒例の……、皆さんにとっては最後となる……臨海学校がやってきます!」

(貯めたなーー)

 生徒のほとんど思った心の声。

「臨海学校といえば、真夏の空の下……、若々しい男女が愛を……ごっほん! あら、まだ皆には早かったよね」

「先生、余談は良いので、話を進めてください」

 臨海学校という言葉に一番燥いでいた担任は学級長が釘を刺した。

「そうね、ごめんなさい。今回はみなさんにとって最後となる臨海学校です。なので、どの学年よりも最長の四泊五日という長い期間行われます」

 玉穂達はその時、少々冷や汗をかいた。


 お昼休み。

「ドウスル――!」

 伊久実が片言な日本語と共に絶望の白目をむいて言った。

「どうするも何も、事前に先代の先輩たちが言ってた期間と違うわよ。そんな、パートやアルバイトの皆さんにもおおよそで言っていた期間を二日ほど伸びてない?」

 玉穂は前もって聞いていた予定や時期が延びている事を指摘した。

「大丈夫かな……。流石に現場の管理者が一週間近く不在となると、トラブルが起きた時にどうしよもない」

 こむぎは大中小の規模関係なく、現場がしっかりと動いてくれるか心配していた。

「とりあえず、話してみないと分からないわ。まずは学校側に話をしに行こう」


 三人は担任に家の事情と臨海学校への参加について話した。

 結果は、三人に関しては臨海学校で進行役などを是非やってほしいということだった。それは、絶対に外すことのできない重要な役目。その提案を推薦したのは他でもない、玉穂達の担任であり、学年主任の先生だった。


「まじかーー」

伊久実は頭を抱えた。

「しょうがない。ここでの結果はいくら話しても進まないわ。もう、あとは各自の努力次第ね」

玉穂は二人を見つめ、個人の家と職場で判断が委ねられ武運を願うような目をしていた。

「そうだね。玉ちゃん……、伊久実ちゃん……。お互い、ベストを尽くそうね」

「「はい……!!」「おおう!!」」


三人は臨海学校の一件を持ち帰り、親、パート、アルバイト、経営陣に話した。

結果、特別休暇として五日の連休を貰った。

臨海学校期間の対策として、玉穂はパートとアルバイトの人たちに入れるところに全て入ってもらい、材料の仕込みなどはベテランパートの人に頼んだ。

伊久実もベテランのパート達をフル稼働させる。

こむぎは本社から商品開発部の社員が応援に来る。


こうして、臨海学校までの期間を通常と変わらず営業するために万全を尽くすのだった。

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