7話 推しとエルフの夏休み計画
「一緒に帰ろう」
次の金曜日、驚くべき光景がソータのクラスで起こった。
なんと、エルシーからソータの教室に出向いてきたのだ。
クラスに残っていた一同は、みな驚いた。
昨日のファミレスとは違い、二人は今日喫茶店にいる。
「なんでカフェじゃなくて喫茶店?」
ソータはまあ、カフェよりも静かだからいいけどとエルシーに聞く。
「同じ学校のやつに会うかもだからこっちにしたんだ」
成る程。
エルシーのチョイスにソータは納得した。
今日は、夏休み旅行の会議の日だ。
「長野やフィンランドのほかに、郷があったアイルランドにも行きたいんだ」
エルシーはソータに話す。
ソータが旅費について悩んでいる事はエルシーも知っている。
「大丈夫。旅費を抑えたいのは私も一緒だ」
エルシーの言葉を聞くと、ソータはほっと安心した。
「とりあえず、移動料は転移魔法を使って極力抑えれるとして宿代はいる。だから長野では安い民泊を予約して、フィンランドはラナの家に泊まらせてもらう。アイルランドではホテルを取らなきゃいけない」
「え、海外に泊まった事ないのに予約できるの?」
「その辺はラナに聞く。ついでに言語の壁も魔法を掛けるから心配ないぞ」
自分が希望したからには、同行者の不安材料を払っておく必要がある。
それを聞いてソータは、やっと海外での旅行に前向きになってくれた。
「フィンランドのかあ。ラナさんってバスで生活してるってエルシーが教えてくれた人だよね?」
「うん」
「バスかあ。いやあ、逞しいっていうかすごいなあ」
「そこは同感する」
「あれ?でもバスに泊まるなら部屋はないよね?
僕、流石に一緒に泊まっていいのかな」
確かに。
しかし、ソータなんてエルフから見たら子供だ。
「多分ソータは床で寝ることを勧められるよ」
エルシーはあえてソータをからかう。
案の定、ソータはえ〜?と同行できるかを気にしている。
エルシーはそんな彼を見て、ははっと笑った。
それ以来、昼休みや時間があれば二人は旅行について会議を繰り広げた。