第2話 おっさんの使命、お前SUGEEE!
前世で俺はただのサブカル好きなサラリーマン。トラックにはねられそうになった子供を助けて死んだ。そして……ゴメスだった。
『外れスキル〈コピー〉で無能扱いされ追放された俺、実は最強のスキルの持ち主らしいんですが、いやいやそんなはずないだろ?』で俺TUEEE主人公に『SUGEEE』を言い続ける男、ゴメスだった。
ただ、俺は前世の記憶が最初からあったわけじゃない。前世の記憶を取り戻したのは最近になってから。それまで俺は普通に何の疑問も持たずゴメスだった。
前世の記憶はなく生まれた俺。
平民の中ではそこそこ裕福な家の七男に生まれた俺に付けられた名は、ゴメスだった。
そのまますくすくと育ち、無邪気な子供時代。
上の兄たちにエロスを教わることで早めに目覚め、姉の着替えなどを覗き見て怒られ、弟や妹たちに笑われる家族のムードメーカー、ゴメスだった。
劣等感と挫折を味わう恋多き青年時代。
性への目覚めが早かった俺は、服捲りのゴメスや覗きのゴメスという異名を持っていた。
まあ、要はスケベなクソガキ、ゴメスだった。
だが、スケベなクソガキがモテないという事実に気付いた頃には、もうその辺の女子・女性から避けられていた女の敵、ゴメスだった。
ただただ使い回され小器用になっていく新人冒険者時代。
ロクに勉強もせず女の尻を追いかけ回していた為に、将来についてもふんわりしていた夢見がち男、ゴメスだった。
そして、なんとなくかっこいいしモテそうだからという理由で冒険者を選んだのだが、与えられた役割はお調子者の雑用。最初に入ったチームでありとあらゆる雑用を押し付けられ色んな技術を覚えたものの、雑用に時間を奪われ極める余裕はなくよくある『なんちゃって器用貧乏最強オールラウンダー』本当にガチ器用貧乏、ゴメスだった。
そして、お調子者で器用貧乏のまま、人脈だけは広がり耳年増で説教臭い銅級冒険者おっさんが出来上がる。それが、ゴメスだった。
記憶が蘇ったのは、主人公である貴族の家を追放されたトレスと初めて出会った時。
「ギルド試験。どれだけ俺の実力が通用するか、実家では無能扱いされたからな。そんなに強くはないんだろうけど、まあ、せいぜい頑張るか」
この台詞を言ったのは、ゴメスではなかった。
『外れスキル〈コピー〉で無能扱いされ追放された俺、実は最強のスキルの持ち主らしいんですが、いやいやそんなはずないだろ?』の主人公、トレスだった。勿論、まだ記憶が蘇っていない当時の俺はそんなこと知る由もない。
「おいおいおい、ルーキー。そんな装備でギルド試験を受けようってのか。死ぬぜ、お前」
にやけツラでこのテンプレ台詞を吐いたのが俺、ゴメスだった。
「なんてな。よーし、おじさんがいっちょ小僧の実力を見てやろうじゃねえか」
ギルド試験テンプレオブテンプレな台詞を吐き続けるおっさんが俺、ゴメスだった。
「お願いします! じゃあ、まずはコピーの〈サンダ〉」
「おいおい、魔法ってのは詠唱がいるんだよ、魔法の名前だけ言ってもぁあばばばばばば!」
そして、雷を喰らった瞬間に思い出した。前世の記憶を。
もう気付いた時には、時すでに遅し、完全にゴメスだった。
アフロになってしまった髪をそり落としスキンヘッドで、何故か電撃で焼けた肌のまま生き続ける男。ゴメスだった。
「トレスお前……SUGEEEな!」
そう俺は! 『はずコピ』のヤムチ●、解説と主人公AGEの為の男、ゴメスだった。
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