パート0その4 6/12 旅行者ギルド
鹿児島に上陸して町の中心部へ車を走らせる。とても煌びやかな街だ。さっきまでの自然たっぷりな雰囲気とは全く違う。町の方々に見えるネオンの明かりを見ながら、進んでいく。目的地は鹿児島中央駅直結の地下駐車場である。この駅はかつては西鹿児島といわれていたらしい。この鹿児島中央駅は駅と言いながらいろいろな施設の集合体である。観覧車も動いている。これは2代目だそうだ。
車を止めて外に出ることなく駅構内に入ることができる。そしてある施設に向かっていた。
「ねぇ、のいちゃんとしの姐ぇもう来てるかな?」
「まだ、連絡ないからまだじゃない?先に行ってようよ」
「そうだね」
待ち合わせ場所が見えてくる。でっかい文字で「旅行者ギルド」と書いてある。
「旅行者ギルド」とは名前の通り旅行者に対するあらゆるサービスを提供するところではあるのだが、それだけでなく旅行者に対するサービスを受けるものとサービスを提供する側をつなぐ役割を持っている。サービスを提供する側はそれによって収入を得ることができる。また、旅行する人だけでなく物の運搬にもかかわるため、人だけにかかわらず物流全般を取り仕切る役割を持っている。
サービスの提供は。もちろんギルド職員も行うのだが、ギルド員として登録したものが行う場合も多い。登録しているギルド員は引き受けた仕事の実績によってランク分けがされる。しかし、旅行者ギルドのサービスは多岐にわたるため、総合ランクのほかにサービス別のランクも存在する。
また、依頼を受けた仕事だけでなく、あるテーマに沿ったイベントを自分で作り出し、それを達成することによって、報酬及びランクのアップを図ることができる。
今回のスイカ旅もギルドに登録している姉と、しの姐ぇが提案したイベントであり、達成すると報酬がもらえることになっている。もちろんこのイベントは人が作ったものでも行うことができ、記録更新などでボーナスが出たりする。もちろん、ほかの依頼と同時進行もできる。まぁ、「旅行者ギルド」としてのざっくりした説明はこんなもんだろうか。
時間をつぶすためギルドに併設されたカフェにやってきた。このカフェは、もちろん旅行者へのサービスとして用意されているのだが、カフェで使用されている物資の運搬などもギルドの仕事に含まれるためその仕事の一環としても設置されているものだったりする。
姉は、カフェオレを頼み、私はりんごジュースを頼んだ。席について少しすると姉のケータイがなる。
「しのっち、今、新幹線でこっち向かっているってさ」
「いまどのあたりなんだろね」
「熊本過ぎたあたりらしいよ」
「もう少しかかりそうな感じ?」
「まあ、そのうちつくよ」
そんなやり取りをしながら、のいちゃんとしの姐ぇをまつことになった。