アーサー殿下は何度も九死に一生を得る(1)
「レディ、大丈夫ですか?」
全身びしゃびしゃに濡れたジュリアに手を差し出したのは、ボーデン王国の第四王子アーサー・オールブライトだった。
「で、で、殿下! 離れてくださいませ。あなた様まで濡れてしまいます」
「濡れたら着替えればいいだけだ。気にすることはないさ」
「でも……畏れ多いです」
「私を困っているレディを放置するような最低な男にさせないで欲しい」
アーサーは躊躇うことなく噴水の中に入り、ジュリアの手を取って立ち上がらせた。
「ありがとう……ございます」
「君の名前は?」
「私はジュリア……ラムジー子爵家のジュリアと申します」
ジュリアは水に濡れている上に、古くて粗末なドレスを着ていることが恥ずかしくて俯きながら小声でしかお礼を言うことができなかった。
「全く……誰がこのような事を。信じられぬ」
アーサーは眉を吊り上げたまま自分のジャケットを脱ぎ、ジュリアに無理矢理着せた。ドレスが水で透けてしまっていたからだ。
そのことに気がついたジュリアは真っ赤に頬を染め、泣き出しそうになった。
「申し訳ありません。申し訳ありません」
何度も謝る彼女を見て、アーサーは困ったように眉を下げた。
「ジュリア嬢。お嫌でしょうが、少しだけ我慢して下さい」
その瞬間、アーサーはジュリアをふわりと抱き上げた。
「……っ!?」
「あなたは足に怪我をしています。すぐに手当てをしましょう」
「あの……申し訳ありません」
ジュリアはまた小声でボソボソと声を出した。普通の御令嬢ならばニッコリと微笑みお礼を言えるだろうが、彼女にはそれができなかった。
「もう謝らないで下さい。困った時に助け合うのは当たり前ではありませんか」
優しくふわりと笑ったアーサーはとても美しかった。顔も美形ではあるが、それだけではなく心が美しいのだ。
「ここで待っていてください。王家の侍女を呼びました。ドレスも隣国に嫁いだ姉上が以前着ていた物で申し訳ないが、良かったらそのままもらってください」
「何から何まで申し訳ありません。あの……私……殿下に何かお礼をしたいのですが……その……お恥ずかしい話……我が家は……裕福ではなく……あなた様にお返しできるものがないのです……」
彼女はその事実が恥ずかしいのか、大きな目に涙を溜めていた。
「お礼などいりません。でも、そうだな……。では、もしまた会えた時に私が困っていたら助けて下さい。もちろん費用のかからないことで」
アーサーは「お大事に」と言って爽やかに片手をあげ、その場を去っていった。
普通に考えて、子爵令嬢のジュリアが第四王子であるアーサーを助けられることなど何もない。
しかし、アーサーはジュリアが『お礼』を気にしないようにそう告げたのだった。
王家の侍女は貧乏令嬢のジュリアを丁重に扱ってくれた。恐らくアーサーがそうするように口添えをしてくれたのだろう。
身体を温めた後に綺麗なドレスに着替えさせてくれただけでなく、美しい化粧までしてもらった。
鏡に映ったジュリアは見違えるように可愛く変身した。侍女にお礼を言い、彼女は舞踏会の会場に急いで戻った。
アーサーにちゃんと『ありがとう』と伝えたかったからだ。
別人のような姿のジュリアを、周囲の人々はあの貧乏令嬢だとは思わないらしく『一曲お相手を』なんて呼び止められて足を止められてしまう。
ようやくアーサーを見つけた時……彼は公爵家の御令嬢であるローザリンデとダンスをしている最中だった。
「悔しいけれどアーサー様とお似合いですわね」
「婚約者は彼女で決まりという噂だわ」
「二人のダンス姿……素敵ねぇ」
ジュリアは自分のような一夜限りの偽物ではなく、正真正銘の御令嬢であるローザリンデを見て哀しくなった。
実はローザリンデはジュリアを虐めていた張本人であり、性格は最悪だ。だけど、見た目は美しくアーサーと並んでも引けを取らないくらいお似合いだった。
家柄も財力も顔もスタイルも……全てが比べものにならないくらい負けていた。
ジュリアはアーサーに声をかけるのを諦めた。そもそもジュリアは下級貴族のため、王家の人間にこちらから話しかけていいような身分ではない。
「ありがとうございました」
アーサーを遠くから眺めながら、ジュリアはその場でお礼を言ってそのまま帰ることにした。
♢♢♢
「皆、すまない。私が不甲斐ないせいで君達まで巻き添えにした」
ここで自分は死ぬのだと、アーサーは今まさにそう思っていた。
剣を構えてみたものの、鋭い牙を向け大きな口を開けてアーサーを食べようとしているこのドラゴンを倒せる可能性はゼロに近かった。
「殿下……私達のことは置いて……早く……お逃げくださ……い」
側近や護衛達はもう誰一人として動けない。アーサーはここで部下を置いて逃げるなんて醜態を晒すような男ではなかった。
「何を言うか。私の為に戦ってくれた者を捨てていくなどできぬ」
もしアーサーが国のトップなら死んでしまえば国に混乱が起きる。だから何がなんでも逃げるべきだが、アーサーはただの第四王子。所詮は自分も父である国王の駒の一つだと理解していた。
「ここまで兄上に嫌われていたとはな」
腹違いの第一王子に騙されてこの地に来た。ただの街の視察のはずだった。だが、その街に行くまでの道に人食いドラゴン・リントヴルムが現れた。
このリントヴルムの生息地はもっと森の深く奥の川の傍。だからここにいるはずがない。そう、いるはずがないのだ。
森の中では動物達がまるで何者かに捧げるように何匹も木に張り付けられて死んでいた。
「何だこれは? おかしい。引き返すぞ!」
アーサーがその異様な雰囲気と獣の血の匂いに気がついた時にはもう遅かった。
「グルルル……ッ」
もうすでにリントヴルムは、アーサー達が逃げられない距離にまで近付いて来ていたのだ。
明らかに誰かがこの森にリントヴルムをわざと引き寄せたのだとわかった。そして誰がそれをしたのかというのは分かりきっていた。
普段あまり仲の良くない兄が珍しくアーサーに声を掛けた。そして『悪いが、私の代わりに視察に行ってくれないか?』と頼まれた時に、アーサーは二つ返事で承諾した。
どうしても都合がつかないと言っていた事を鵜呑みにしてしまった。それどころか、アーサーは嫌われていると思っていた兄が自分を頼ってくれたことが嬉しかった。
「はは……馬鹿だな」
下級貴族の側室の子だとアーサーを毛嫌いしていた兄が自分を頼るわけなどなかったのに。
「母上、天国で待っていてください」
アーサーは若くして亡くなった美しく優しい母に向けてそう呟いた。
そして死ぬ覚悟を持って、巨大なリントヴルムに真正面から向かって行った。
「今日は英雄様のご帰還だ!」
「あの人食いドラゴンのリントヴルム相手に全員無事らしいぞ」
「さすがはアーサー殿下だな。素晴らしい」
王都はわいわいお祭り騒ぎ。ずっとこの国の国民を怖がらせていたリントヴルムを倒した英雄・アーサーが帰ってくる日だからだ。
リントヴルムは、腹が減ったら人間を襲って食べるという悪行を繰り返していた。
これまでも沢山の騎士達が何度も討伐に出掛けたが、失敗に終わっていた。
「アーサー殿下は強くて優しくて素晴らしいお方だな」
国民達は皆が皆、第四王子のアーサーを褒め称えた。
美しく凛々しい容姿に加え、素晴らしい剣術の腕と穏やかで優しい性格の彼は元々人気が高かった。
それが、この討伐でさらに評判が上がり『アーサーこそ次期国王だ』との声が大きくなった。
「アーサー、よくやった! さすがは私の息子だ。我が国を悩ませていた最強のドラゴン・リントヴルムを倒すとは」
「父上、その件ですが私はリントヴルムを倒してなどいません」
アーサーは、父親である国王陛下から呼び出されていた。周りには兄弟達やボーデン王国の重役達が揃っている。
アーサーの『倒していない』発言に周囲は一気に騒ついた。
「あの状況でお前以外に誰が倒すというのだ? 他の兄弟に気を遣う必要ない。慎ましい性格は美徳だが、せっかくの自分の手柄を偽る必要はないぞ」
ハッハッハ、とご機嫌に笑う父親を見てアーサーはこれ以上何を言っても無駄だと感じた。
「アーサーは国の英雄だ。次期王になるのはお前だ」
国王が後継を明言するのは初めてのことだった。
「ちょっと待ってください。私の王位継承権は第四位ですよ?」
「関係ないな。私が実力主義なことを知っているだろう? 例え今回の件がなかったとしても私はアーサーを高く評価していた」
父親のその褒め言葉は正直嬉しかったが、アーサーは側室の子であり第四子。普通なら次期国王になんてなれるはずもない。
「異論のある者は今すぐ申し出よ!」
国王陛下が決めたことをあからさまに否定できる者など誰もいなかった。それに第四子ということ以外で、アーサーが次期王になる問題点は無かったというのも事実だった。
その後臣下達の証言でアーサーが第一王子に騙されたという事実が明るみになり、彼の兄は王位継承権を剥奪され幽閉されることになった。
これでもうアーサーに何かあったとしても、第一王子が国王になることはなくなった。
アーサーは複雑な心境だったが、自分だけではなく大事な臣下まで殺されそうになったことを許すわけにはいかなかった。
第二、第三王子は素直にアーサーの臣下につくと宣言し……ボーデン王国の後継問題は幕を下ろした。
♢♢♢
「きゃあ! アーサー様よ」
「素敵ねぇ。さすが英雄様だわ」
「婚約者が決まっていらっしゃらないそうよ」
「それならまだチャンスがあるわね」
アーサーは次期王だと決まってから、舞踏会で繰り広げられる光景にうんざりしていた。
元々人気のあったアーサーだが、ここまであからさまに御令嬢方に囲まれキャーキャーと騒がれたことはなかった。
それに今まで第一王子にべったりくっ付いていた御令嬢が、手のひらを返したように自分に擦り寄ってくるのも恐ろしかった。
「結局は王妃になりたいだけということか」
誰もアーサー本人を好きなわけではない。次に『国王になる男』がいいだけだ。
「私はリントヴルムを倒してなどいないのにな」
アーサーはあの時、リントヴルムに向かって行ったところまでは覚えていた。
そして目が覚めた時にはもうリントヴルムが倒れていて、リントヴルムの腹には何故かアーサーの剣が刺さっていた。
しかしそれは、絶対にドラゴンを斬れるはずがないという素人な刺し方だった。
一目見て、これは後からわざと刺したものだとわかるものだった。
「なんだ……これは。誰がリントヴルムを……」
アーサーが戸惑っていると、周りに倒れていた臣下達が次々によろよろと起き上がってきた。
「殿下、ご無事ですか」
「ああ、大事ない。皆も生きていてくれてよかった」
「あの状況でよくリントヴルムを倒されましたね」
臣下達からは賞賛の声が上がったが、アーサーは否定した。
「いや、私ではない。気が付いたら、もうリントヴルムは息絶えていた」
「しかし、私達と殿下以外誰もいませんでしたよ」
「そうなのだが……」
「きっと気が動転していらっしゃる中で、必死に戦ってくださったから記憶が曖昧なのではありませんか」
いくら否定をしても、状況証拠からアーサーがリントヴルムを倒したということを疑う者はいなかった。
確かにアーサーはボーデン王国一強い騎士だった。元々もしリントヴルムを倒せる人物がいるとしたら、アーサーしかいないだろうと言われていた。
ただし、それは十分準備をして戦いに臨んだ時の場合。
ただの視察として、ろくな装備もせず数名だけの側近や臣下を連れているだけの状態では絶対に無理だった。
「一体誰なのだろうか?」
アーサーは助けてくれた人物にお礼を言いたかった。例え自分が次期王から外されたとしても、本当の英雄はリントヴルムを倒した人だと国中に伝えたかった。
しかし、あの凶暴なドラゴンを倒せるような実力のあるものを思いつかない。
「アーサー殿下、一曲お相手いただけませんか?」
ぼんやりしていると、有力な公爵家の末娘ローザリンデにするりと腕を取られてしまった。
派手に美しく着飾り、自信満々なその様子は自分が断られるとは思っていないようだ。
しかし、彼女にアーサーは全く興味がなかった。
「美しいレディに誘っていただけるなんて光栄ですね。だが、すまないが少し疲れてしまったようだ。休んでくるよ」
社交辞令を交えながら、断りを入れてその場を後にした。
バルコニーに出て風に当たっていると、会場内から視線を感じて振り返った。
アーサーはある一人の御令嬢と目が合った。
こんなところにいてもまだ追いかけられるのか、とげんなりしていたがその御令嬢は慌てて姿を隠した。しかし、こちらからは少しだけ見えている。
追いかけて来ないので、そのまま放っておくことにした。
アーサーもこれ一回きりなら特に気を留めなかったが、舞踏会の度に同じような姿を目撃した。
「また遠くから見つめられている」
しかし向こうから話しかけられることもなく、こちらが近付くと逃げて行く。他に被害は何もない。
「あれはいつかの舞踏会で噴水に落とされていたレディだ。確か……ジュリア嬢という名前だっただろうか?」
アーサーが歩くとぴょこぴょことついてきて、アーサーが振り向くとものすごく慌てて急いで隠れる。
そしてしばらくアーサーを見つめた後、ジュリアはキョロキョロと周囲を見渡した後にお皿に食事を山盛り取り『うっとり』した表情でもぐもぐと美味しそうに食べていた。
アーサーはその姿がなんだか気になり、とても可愛らしく思えてきた。
「くくっ……あんなに頬を膨らませて。あれはそんなに美味しいのだろうか?」
いつも舞踏会では食事をしないアーサーだったが、ジュリアがあまりに美味しそうに食べているのを見て自分も後で同じメニューを食べられるようにしてもらった。
「確かに美味い」
口に入れた途端にジュリアのもぐもぐと嬉しそうに食べている様子を思い出し、なんだか温かい気持ちになった。
王宮の料理は全て絶品のはずなのだが、アーサーは最近の忙しさと疲れからか何を食べても味気なく感じていた。だから、食事を美味しいと思えたのは久しぶりだった。
そしてアーサーはある日の舞踏会、いつも自分の後ろをついてくるジュリアがいないことに気がついた。
そうなるとどこにいるのか気になってくるのが人間の心理だろう。アーサーは人波を上手く避けながら、ジュリアを探すことにした。
そしてやっと彼女を見つけたが、ジュリアは王宮の庭で沢山の御令嬢に囲まれていた。
「まさか……また虐められているのか!」
早く止めてあげなければと思い、アーサーは急いで会場を出た。
「殿下っ! どちらに」
「ちょっと野暮用だ。お前達はついて来なくていい」
護衛を振り切り、アーサーは階段を駆け降りた。ここは警備の行き届いた王宮内。しかもアーサーはかなり強いので、護衛もそこまで本気で追いかけては来ないことを知っていた。
アーサーはなぜ自分がこんなに必死に走っているのかわからない。
わからないが、ジュリアを助けなければと強く思っていた。
「よく毎回同じドレスで舞踏会に来れますわね?」
「恥ずかしくて私なら辞退しますわ」
「まあ、そんなこと言ってはいけませんわ。ジュリア様はこれしかお持ちじゃないのですから」
扇子で顔を隠しながら派手に着飾った御令嬢達がケラケラと大声で笑い合っている。ジュリアを取り囲み、その中心にいるのは公爵令嬢のローザリンデだった。
「……」
「最近、アーサー殿下の周りをちょろちょろしてるらしいじゃない」
「あんたみたいな貧乏人相手にされるわけありませんわ」
「分不相応って言葉ご存知ないのかしら?」
庭についたアーサーは、すぐにジュリアを助けようとしたが自分の名前が話に出ていることに一瞬怯んでしまった。
そうしている内に、ローザリンデはドンとジュリアを強く押した。
危ない! そう思った瞬間、ザパンッという大きな水音が響いた。
「きゃあっ!」
その大きな悲鳴を聞いて、はっと我に返ると……目の前にはなぜか噴水の中に突き落とされたローザリンデがいた。
「ど、ど、どうして私がこんな事に!」
先程突き飛ばされたのは間違いなくジュリアだった。
だが、目の前にはびしょ濡れのローザリンデがいる。
「どういうことだ……?」
意味がわからず、混乱したままアーサーはその場を動けなかった。
「毎回同じ手を使うとは芸がありませんわね」
ジュリアは小声でそう呟いた後、ニコリと微笑み「ご機嫌よう」と何事もなかったかのようにその場を去って行った。
びしょ濡れのローザリンデと取り巻き達は、いまだにギャーギャーと騒いでいる。
アーサーは目の前で起きた事が信じられなかった。
「まさか今のはジュリア嬢が……何かをしたのか?」
何が起こったのか全くわからない。だが、その不思議な感覚は、アーサーが目覚めたらリントヴルムが倒れていた時と類似していた。
しかしその後、いくら探してもジュリアの姿は見つからなかった。
♢♢♢
それからアーサーの周りでは不思議な事がたくさん起こった。
アーサーが何者かにバルコニーから突き落とされそうになった時は、たまたま危機一髪のところで助かった。
アーサが何者かに毒を盛られた時は、たまたま給事係がその皿を落としたことで食べることはなかった。
アーサーが馬車を何者かに襲われた時は、たまたま事前に密告があり迎え討つ事ができた。
いくら人望があるとはいえやはり第四子が次期国王になることへの反発は残っており、アーサーが命を狙われることは日常茶飯事だった。
しかし、どんなに危険な時でもアーサーは必ず助かった。何故か彼にだけ九死に一生が何度でも起きるのだ。
「アーサー殿下は強運の持ち主だ」
そんな噂が国中に広まり、より一層アーサーを敬う者が増えた。
だがこんな偶然が何度も起こるなんておかしい、とアーサーは冷静だった。
自分が助かる時はいつもあの不思議な感覚に陥る。一瞬だけ自分が意識を失ったようになり、次に目が覚めたらアーサーに都合の良いように周りの状況が変わっている。
そして、その場には毎回僅かに砂が落ちていた。
「この砂が何処の土地のものか調べてくれ」
アーサーは謎を解くために地学の研究者に砂を渡し、調査を依頼した。
♢♢♢
「アーサー殿下、このワインは絶品ですわよ。お一ついかがですか?」
「また後でいただきます」
ローザリンデに話しかけられたアーサーは、適当に返事を返した。
力のある公爵令嬢のローザリンデはアーサーの婚約者候補として一番有力だと言われていた。
だが、ジュリアを虐めていたことを知っているアーサーはローザリンデと結婚など絶対にしたくなかった。
アーサーの前では完璧で美しい令嬢であり、非の打ち所がないように見える。だが、裏ではあんな風に人を見下す人間だと思うと虫唾が走った。
しかし、立場上あからさまに拒否をする事ができない。
差し出されたグラスは受け取りを拒否した。アーサーは誰かの手に渡った飲み物を口にする程、迂闊な人間ではないからだ。
「そうですか。残念ですわ」
ローザリンデは案外あっさりと引いてくれた。だから、少し油断したのかもしれない。
アーサーはローザリンデから離れ、ウェイターからドリンクを取り飲んでしまった。王家主催の舞踏会では、ドリンクは全て毒見済みだと知っていたからだ。
飲んでしばらくすると、アーサーは目の前がぐにゃりと揺れるのを感じた。彼は人前で倒れるわけにはいかないと、なんとか正気を保ち自室に戻った。
「睡眠……薬か」
こんなことができるのは金と地位のあるものだ。ウェイターに相当な額を積んだか、あのウェイター自体が偽物だったかだ。
アーサーはベッドに倒れ込むと、護身用の短剣を胸元から出して自分の腕を切りつけた。
「……っ!」
もの凄く痛いはずなのに、それでも強い睡魔が襲ってくる。意識が朦朧としてきた時、アーサーは誰もいないはずの部屋の後ろから声をかけられた。
「まあ、アーサー様。まだ起きていらっしゃるなんて流石ですわね」
うふふ、と目を細めて笑っているのはローザリンデだった。
「なぜ……この部屋に!? こんな勝手……許されません……よ」
「ふふ、殿下ご安心くださいませ。なんの問題もありませんわ。私たちは愛し合う恋人同士ですもの」
ローザリンデはニッと企みを含んだ嫌な笑顔を見せた。
「ふざ……ける……なっ!」
「大丈夫ですわ。私にすべてお任せ下さい」
ローザリンデはそのままアーサーのいるベッドに上がり、するりと自分の服を脱ぎ始めた。
「や……めろ」
「殿下、もう話すのもお辛いでしょう?」
「こんなことをしても……私は……君を選ばない」
アーサーは歯を食いしばり、もう一度腕を剣で刺した。
「ぐっ……あぁっ……!」
その激痛のおかげで、なんとか起きていることができた。
「ご自身を傷付けるなんて……すごい精神力ですわね。でもこの状況で私を捨てたら、あなたの評価は駄々下がりですわよ? だから私を婚約者にしてくださいませ」
「誰が……そんな脅しに……屈するものか……」
「我が公爵家の影響力をご存知でしょう? 私が殿下に無理矢理襲われたとお父様に報告すれば、いくら殿下でもただではすみませんわ……ふふふ」
ローザリンデが纏っている服を全て脱いだその時、アーサーはもうダメだと諦めかけた。
「離れなさい」
部屋にはアーサーとローザリンデしかいないはずなのに、別の人物の声が聞こえてきた。
その声は女性のものだが、明らかに怒ったような低い声だった。部屋中が一気にビリビリと痺れるような嫌な感じに包まれた。
「誰っ!? 誰なのっ」
ローザリンデが戸惑っていると、いきなりバサリと彼女の上にシーツが落ちてきた。
「きゃあっ!」
悲鳴をあげた瞬間、ローザリンデはシーツごと姿を消した。アーサーは目の前で何が起こっているのかわからなかった。
しかし、さっきいつものあの記憶が飛ぶような不思議な感覚があった。
「また助けて……くれたのですか」
「……」
姿は見えないが何かが動いた気配がすると、ベッドにパラパラと砂が落ちた。
「解毒します。すみません、攻撃は得意なのですが治癒は苦手なので殿下に実際に触れないと治せないんです。し、し、失礼します」
身体に何かが触れたと思ったら、急に意識がはっきりして腕の傷も綺麗に塞がった。
「もう大丈夫です」
そう言った透明の何かを、アーサーはガバリと抱き締めた。
「で、で、で、殿下! お離しください!!」
いくら透明とはいえ、触れられた手を引き寄せれば居場所はわかる。
「嫌です。ずっとあなたにお礼が言いたかったんです……ジュリア嬢」
「ジュッ……ジュリア嬢トハドナタデスカ? ゾンジアゲマセン」
急に片言になった透明の何かは、アーサーの腕から逃れようともぞもぞと動いた。
「隠さないで下さい。落ちている砂はラムジー子爵領でしか取れないものだと調べはついています。私が危険を回避した後は、必ずこの砂が落ちていた」
「す、砂!? ぎゃあ、本当だ。来る前に畑を耕していたからだわ」
「だからもう観念して姿を見せてください。あなたはラムジー子爵家のジュリア嬢で、魔法使いなのでしょう?」
「……はい」
その返事を聞いてアーサーはニッと悪戯っぽく口角を上げた。
「あなたが認めてくれて良かった。砂が落ちていたのは本当ですが、調べても何処にでもある砂だと言われて困っていたのです」
アーサーは学者からの調査結果を見て、ガッカリしていた。落ちていた砂ではラムジー子爵領のものだと断定できかなかったため、今までジュリアと接触することができなかったのだ。
「ええっ!? じゃあ……鎌をかけたのですか」
「すみません、あなただろうとは思っていたが証拠がなかったので」
「そ、そんな……!」
アーサーは基本的に優しく穏やかな性格だが、必要な時に手段を選ぶような男ではなかった。
「いつもどのような力を使っていたのですか?」
「……時を止めていました。私は恐らく最強の魔法使いですから」
弱々しい声が聞こえてくると、透明の何かはあっという間に粗末なドレスを着たジュリアに姿を変えた。アーサーの腕の中で真っ赤になって俯いている。
「やっと可愛い顔を見せてくれましたね」
アーサーはニコリと微笑み、ジュリアの頬を大きな手で包み込んだ。
「かっ、可愛いっ!? わ、わ、わ、私がですか」
「ええ、とても」
「……っ!」
ボンッ、と音がするのではと思うほどジュリアは全身真っ赤になった。アーサーが目を細めたくすり、と笑ったその時廊下から悲鳴が聞こえた。
「きゃあっ……! 見ないで……見ないで下さいまし」
その甲高い声は、明らかにさっき消えたローザリンデのものだった。
「あ、動揺したから転移魔法失敗しちゃった」
ジュリアが気まずそうにそう呟いた瞬間、ドンドンドンと部屋を激しく叩く音が聞こえた。
「アーサー殿下っ! ご無事ですか?」
「ああ、無事だ。どうした?」
「殿下のお部屋の前に……その……急にローザリンデ嬢が現れまして。しかも……その……言いにくいのですが、シーツ以外……何も身につけていない状態でして」
それを聞いたアーサーは目を大きく見開いて、ジュリアを見つめた。ジュリアはあちゃー、と頭を抱えている。
どうやら、ローザリンデはあの状態のまま廊下に放り出されたらしい。
「私と既成事実を作ろうとしたのだろう。先ほどの舞踏会の酒を飲んだ後で、私は急に眠気がきた。ローザリンデ嬢のことと関係があるかもしれぬ。この部屋まで手引きした人間も含めて詳しく調べあげよ。こんなことが事実なら許されることではない」
「はっ!」
アーサーは扉越しに淡々と指示を出した。
「他にもおかしな輩がいるかもしれませぬ。殿下、申し訳ありませんが部屋を調べさせて下さい」
警備の騎士達は今にも部屋の中に入ってきそうな勢いだった。
「私は消えます」
「いや、そのままでいて下さい」
アーサーはいきなり上着を脱ぎ捨て、ジュリアをベッドに片手で抱き寄せシーツを被せた。
「ひゃあっ!」
「しっ、黙って」
今もドンドンドンと扉が叩かれている。
「わかった、入れ」
アーサーが返事をしたので、警備の騎士達が沢山部屋の中に入ってきた。ジュリアは入室を許可したことに驚き、青ざめていた。
「殿下、本当にご無事でなによ……」
そう言いかけた騎士達は途中で言葉を詰まらせた。上半身裸のアーサーが色っぽく髪をかき揚げ、ベッドから身体を起こしたからだ。
しかも、ちゃんと姿は見えないがベッドの中には女性がいたからだ。
「し、失礼致しました」
騎士達は皆、視線を彷徨わせた。まだ婚約者がいないアーサーが誰かと共寝をしているなんてトップシークレットだ。
「いや、君達も仕事だ。私こそ、こんな場面を見せてすまないな」
アーサーはさらにシーツを上げ、ジュリアの顔が見えぬように自分の方に抱き寄せた。
「私も愛する女性の前ではただの男だ。恋人と二人きりの時間を取りたい気持ち……君たちもわかってくれるね?」
シーツの上からちゅっ、とキスをするアーサーの姿はあまりにも美しかった。
「は、はい。わかります」
騎士達は、しどろもどろになりながらそう答えた。
「ありがとう。私は大丈夫だ。すまないがこの件は内密にして欲しい」
「は、はい」
「ローザリンデ嬢の件はくれぐれも頼んだよ」
騎士達は頷き、焦るようにバタバタと部屋を去って行った。
「どうするんですか! あんな嘘……皆さんに誤解されたじゃありませんか」
「そうかもね」
アーサーは何事もなかったかのように微笑み、青ざめているジュリアの髪をそっと撫でた。
「私にいい案がある」
「いい案とは何ですか?」
「それはね……」
アーサーはジュリアに勢いよく顔を寄せた。
「誤解ではなく本当にすればいい」
「え?」
「ジュリア嬢、私は君が好きだよ」
ポカンと口を開けているジュリアの唇に、アーサーはちゅっとキスをした。
「な、な、な、な……!」
「な?」
アーサーが首を傾げると、ジュリアは頬を染め自分の唇を手で押さえた。
「何をされるのですか!」
「何ってキスのことかい?」
「ど、ど、どうして」
「もちろん私がジュリア嬢を愛しているからですよ。いつも陰から助けてくれて本当にありがとう。礼を言うのが遅くなってすまなかった」
そう言ったアーサーの前で、ジュリアは思考回路が停止していた。
「どうして助けたのは自分だと名乗り出なかったんだ? 言ってくれたらお金も地位も名誉も……全て手に入ったのに」
「そんなもの私はいらないからです」
「……やはり私はあなたがいいな」
アーサーはジュリアの答えを聞いて、嬉しそうに微笑んだ。
「ジュリア嬢、どうか私の妻になって欲しい。私は父上のように側室を娶ったりしない。あなただけを一生大切にすると誓う」
アーサーは自分が側室の子として生まれて辛い思いをしたので、結婚する時は正妃しかいらないと心に決めていた。
ベッドからおりて床に片膝をつき、アーサーはジュリアの左手の薬指にキスをした。
「殿下。私……貧乏で……しかも下級貴族ですよ」
「それは知っている」
「あなた様とは家柄も見た目も釣り合いません」
「ジュリア嬢は私のことをどう思っている?」
アーサーは真剣な顔で、ジュリアに問いかけた。
「……」
「嫌いならもう二度と君には近づかない」
「そんな言い方……ずるいです。す……好きに決まっています」
小さな声でジュリアがそう言った途端に、アーサーはふわりと幸せそうに微笑んだ。
「良かった。それ以外は取るに足りないことだからなんの問題もない」
アーサーはジュリアを抱き締めて、もう一度キスをした。
♢♢♢
「さあ、さあ! 今日はアーサー殿下の結婚式だ。何でもお祝い価格になってるよ!!」
「この国も安泰だねぇ」
「そりゃそうさ。この国で一番強い騎士と最強の魔法使いの夫婦なんだから」
ジュリアはこの国で唯一、そして最強の魔法使いだった。両親は娘のあまりに強大な力に驚き、悪用されることを心配した。
そしてジュリアには人前で魔法を使わないように言い聞かせ、ラムジー子爵領で他の貴族達から隠れるように細々と暮らしていた。
どうやら過去にラムジー家にはすごい魔法使いがいたらしく、ジュリアは突然の先祖返りだった。
愛する娘が貧しくとも平凡な幸せを手に入れることを望んでいた両親は、ジュリアが王太子殿下のアーサーと結婚すると二人で挨拶に来た時は心臓が止まる程驚いた。
しかし、真剣な二人の気持ちを知り娘のジュリアをアーサーに任せることに決めた。
アーサーは周囲には魔法使いだと隠したままでもいいと言ったが、ジュリアは首を横に振った。
「あなた様にだけでなく、周囲にも殿下の妻だと正式に認めてもらいたいのです」
覚悟を決めたジュリアは、自分が魔法使いであると公言した。
公言すると決めてからアーサーは事前に国王陛下に『アーサーには共寝をする程愛する人がいるらしい』という噂を聞かせておいた。あの夜のことを上手く利用して『内密に』と護衛騎士に言いながら……陛下の耳だけにはわざと話が入るようしたのだ。
好きな女の身分が低いのならば側室にしろと言って来た陛下に、アーサーはジュリアは魔法使いだと告げ彼女を正妻にできないのであれば自分は王位継承をしないと宣言をした。
国王陛下は魔法使いなどいるはずがないと大層不審がっていたが、ジュリアが目の前で大きな炎を作って見せると『アーサーとの結婚を認める』と反対するどころか手のひらを返して大賛成をされた。
国王陛下は良くも悪くも国の利益になることは受け入れる人物だということを、息子のアーサーはよく理解していたのだ。
貧乏令嬢だと馬鹿にしていた者たちは、急に態度を変えジュリアを賞賛し始めた。そして、アーサーの妻として名実共に正式に認められることになった。
ちなみにあの時アーサーに睡眠薬を飲ませ既成事実を作ろうとしたローザリンデは、その罪を償うために田舎の修道院へ送られることになった。ローザリンデの生家もこの一件で一気に力をなくしたため、アーサーの邪魔をする者はいなくなった。
そして今日はアーサーとジュリアの結婚式。王都だけでなく、国中がわいわいお祭り騒ぎだった。
「ジュリア、ウェディングドレス姿とても綺麗だよ」
「ありがとうございます。その……殿下も素敵です」
ジュリアはアーサーが一から特注したウェディングドレスを身に纏っていた。
ジュリアは粗末な身なりの時とは別人のように綺麗になっていた。
「ありがとう。でも二人きりの時にその呼び方はやめて欲しいと言っただろう?」
「あ……はい。アーサー……」
「ジュリア、愛しているよ」
「私も愛しています」
アーサーは彼女のおでこにちゅ、っと触れるだけのキスをした。
「唇にするのは本番に取っておくよ」
「……はい」
もじもじと恥ずかしそうにしているジュリアに、アーサーは悪戯っ子のような笑みを浮かべ耳打ちをした。
「誓いのキスの時に私とジュリア以外の時を止めてくれないか?」
「……え?」
「そうすれば、何度でもキスができるだろう?」
アーサーの言葉を聞いたジュリアは全身真っ赤になり、ムッと唇を尖らせた。
「却下です」
「……ダメか。残念だ」
アーサーはわざと眉を下げ、哀しげな表情を作った。ジュリアがその顔に弱いのを知っていて、わざとやっているのがたちが悪い。
「ちょ、ちょっとだけなら……良いですけど」
「ありがとう。楽しみにしている」
アーサーが蕩けるような笑顔を見せたので、ジュリアはさらに体温が上がった。
「そう言えば、本当によかったのか? リントヴルムを倒したのがジュリアだと皆に伝えなくて。英雄は本当は君なのに」
「いいえ、あれはアーサーが倒したのです」
ジュリアは真剣な顔でぶんぶんと左右に首を振った。
「私に嘘をつかなくていい」
「嘘ではありません。あれはあなたへの恩返しですから! お母様がいつも言っていました。誰かから貰った恩は『さりげなく返すのよ』って」
ジュリアはアーサーをじっと見つめた後ニコリ、と微笑んだ。
「恩返し……?」
「あなたが私を助けてくれたので、私があなたを助けた……つまりはあなたがいなければリントヴルムを倒すことはありませんでした。よって、あなたのおかげでリントヴルムは倒れたのです」
「それはお礼の規模が大きすぎるよ」
「いいえ、私にとってあれくらいたいしたことではありませんから。それにあなたは『困っている時に、お金のかからないこと』で助けて欲しいと仰っていましたよね?だから自分にできることをしたまでです」
アーサーはあの日の舞踏会で確かにそう言った。もちろんそれは本気で言ったわけではなく、ジュリアに気を遣わせないために『社交辞令』として伝えた言葉だったのに。
「私、約束は守るタイプなんです」
まるで子どものように無邪気に胸をドンと叩いて得意げになっているジュリアを見て、アーサーは改めて自分がとんでもない人を助けたのだと気がついた。
たいしたことない、と言って倒したのが誰も倒せなかった最強の人食いドラゴンなのだから。
「……手を差し伸べてくださったあの日からずっと、アーサーが好きでした」
「そうだったのか」
ジュリアはもじもじとはずかしそうにしながら、話を続けた。
「最初は恩返しのタイミングを見計らっていたのですが、だんだんとあなたを見つめるのが癖になってしまいました。アーサーがいるだけで、大嫌いな舞踏会が大好きになりました」
「いつも見つめられていたのは知っていたよ」
「ええっ! 気が付いていらっしゃったんですか」
ジュリアが心底驚いたという顔をするので、アーサーは堪え切れずに吹き出した。
「ふふ……ははっ! かなりバレバレだったよ」
「私攻撃魔法以外はもの凄く苦手なんですよね」
超攻撃型のジュリアが言う『苦手』とは『意識しないとできない』という意味だけで、結局はどんな魔法も使えるから恐ろしい。
「あの時はそもそも魔法を使ってなかったしね。でもそのおかげで私はジュリアを見つけられた。さあ、そろそろ式に行こうか」
「は、はい!」
「緊張しなくてもいい。私がずっと隣にいる。君はとても強いが、私にしか守れないことも沢山ある。これからは私がジュリアを守るよ」
「はい。私もアーサーを守ります!」
二人は微笑み合い、手を取り合って式場に入った。それは誰が見ても幸せそのもの。
アーサーとジュリアはボーデン王国で一番大きな教会で、沢山の人にお祝いされ結婚式を挙げた。
式の後は王都中を周り、民衆たちに向けてパレードをする長い長い一日だった。
実は式やパレード中に何度も何度も愛する二人以外の時が止まっていたことは……アーサーとジュリアだけの秘密。
「ジュリア、愛しているよ」
「私もアーサーを愛しています」
「ア、アーサーだめです」
「もう少しだけ……ね?」
「恥ずかしいです」
「大丈夫、誰も見ていないよ」
時が動き出した後は、毎回ジュリアの頬が染まっていましたがそれに気が付く人は誰一人いませんでした。
END
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