エピローグ
画面に表示される『1st』の文字。舞い散る紙吹雪。ヘッドセットを貫通して聞こえる大歓声。全てに現実感がなく、夢の中にいるような感覚だった。
「まさかまさかの大逆転!! 瀬尾麻衣花、奥山玲斗ペアの優勝です!」
「すげぇよ、麻衣花! やったな!」
実況の絶叫とともに再び大歓声が上がる。なおも呆ける私を現実に引き戻したのは、玲斗の弾んだ声だった。そうか、勝ったのか。私は勝ったのか。あの日のトラウマを乗り越えたのか。
一位、キル合計四十二でポイント八十四。順位五位、三位、一位でポイント百十。総合ポイント百九十四。
二位、キル合計三十五でポイント七十。順位一位、四位、二位でポイント百二十。総合ポイント百九十。
三位、キル合計三十四でポイント六十八。順位二位、三位、三位でポイント百十。総合ポイント百八十八。
二位と四ポイント差、三位と六ポイント差という僅差での大逆転優勝だった。さらにあそこで勝たなければ三位もなかった。そう考えるとちゃんと乗り越えられたんだなと思う。
「やったな、麻衣花。お前のおかげだよ!」
「ううん、玲斗があそこでしっかり索敵してくれたからだよ。ありがとう、相棒」
外はきっとまだ雨だろう。だけどもう私は俯くことはない。