「アホーーーーー!!」
「まだ、痛え・・・。」
まだ痛みの癒えぬ頭を押さえながら、俺は帰路に着こうとしていた。
そして校門を出るまでは、俺は警戒しなかればいけない。
いつ、あのガサツ女が攻撃してくるか、分からないからだ。
(むう・・・。)
最大の鬼門である弓道場を、俺は横切った。
しかし、あの女の姿は見えない。
いつも弓道部で活動しているのに、今日に限っていない・・・。
オレは、とても珍しい事だ、と思った。
しかし、安心はできない・・・。
校門をでて、帰路に着こうとしていた俺は、まだ警戒を解いてはいなかった。
(おう・・・・!)
当たっては欲しくない事が、自分の身に起こった。
そう、彼女がいたのだ。
帰り道で、あのガサツ女が立っていたのだ。
気が付くと、女はオレの目の前に接近していた。
一体何なのだ、この女は・・・。
しかし俺は、別にタジロギはしないし、ましてや怯えてもいなかった。
どうして、どうなのかと言われると、ガサツ女から何やら違和感を察知したからなのだ。
彼女からは、先ほどの押しつけがましさや、大胆さも全く感じられない。
あえて今のガサツ女の状態を表現したら、モジモジしている・・・、と言える・・・。
今の、このガサツ女は、まるで乙女ではないか・・・・。
(当の本人から言わせれば、立派な乙女なのかも知れないが・・・。)
そして、むしろ俺の方が、この状況に間が持たない、と戸惑っている・・・。
「なんだよ。」
時間したら、ほんの僅かなのかも知れない。
しかし自分からしたら、とても長い間に感じられるのだ。
そして、この女は明らかに何かを伝えようとしているように、自分には見受けられる。
しかし残念ながら、俺の容量の少ない脳ミソが理解ができるのは、この件に関しては、そこまでが限界でなのであった。
そこで今の展開に我慢ができなくなった俺は、女性に対しての暴言を吐いてしまうのであった。
「なんだよ、モジモジして。」
オレは布石を打った。
それから間髪入れずに、ストレート(?)を放ったのである。
「どうしたんだ、お前。
ひょっとして、小便でもしたいのか?」
とまあオレは、この女をからかってしまった。
「えっ!?」
不意を吹かれたガサツ女は、慌てて制服の上から股の当たりを両手で抑えた、そして瞬く間に頬を赤らめる、・・・・・・・・・訳が無かった・・・・。
===== ビタン!!! =====
次の瞬間に、オレの頬に女の手形が見事に張り付けられたのであった。
「い、痛え・・・!」
恐らく俺は、涙目になりながら自分のホッペをさすっていた。
「アホーーーーー!!」
先ほどの教室の件に続き、またしてもガサツ女はプンプンと蒸気を頭から出しながら、走り去って行ったのであった。
「・・・・・・・。」
その時は流石に、オレは反省した。
お転婆なガサツ女とはいえ、年頃の乙女に対していうのは余りに失礼な言動だった、と我ながら思い返した。
俺はトボトボと、家路に着こうとしていた。
今日はもう特に、自分には変わった出来事は起こらないであろう。
それだけ、この道を歩くという事は、自分に取って日常的に繰り返されてきた行為なのであった。
しかし・・・、今日は違うパターンだったのだ・・・・。
先ほど出くわしたガサツ女の件から、何やら得体のしれない胸騒ぎが自身の内から起こっているのを感じていた。
そして、その警報は極めて、精度が高く正しかったのである。
======= 誠に勝手ながら 今月末で閉店いたします 長い間ご来店 有難うございました ======
機械的な文言が、俺の心臓を直撃したのであった。