このスケベ!!
今日も長い一日が始まる。
何故そう感じるのかというと、この学校生活には目的が無いからだ。
別に取り立てて学びたい事もないし、進学するなり就職するなり、どうにかなるだろう、と自分は思っているからなのである。
そもそも若者というだけで、どこかには収まる場所はあるであろう。
だから自分が入った道で、それなりにやっていけば良いのではないだろうか。
だから俺は、まじめに学校の授業を聞くつもりはない。
別に、その事によって誰かに迷惑をかけるわけでもないのだから・・・。
(まあ自分の学業が振るわない事によって、親は悲しむかも知れないが・・・。)
俺は後ろの方の席で、なるべく思考停止させて、脳内エナジーを消耗しないようにしていた。
本当に興味のそそられない授業だ。
綺麗な髪だ、本当に美しい髪だ。
この感覚がずっと続けばいいのに、と思う。
オレは意識が薄れていった。
「おわっ。」
額に衝撃が走った。
「またデコピンかよ。」
俺は自分の額をさすりながら、女を見上げた。
「授業終わったぞ。」
(このガサツ女め・・・・・。)
先ほどまで、コイツの後姿を堪能していた自分自身に、腹が立ってきたのであった。
その綺麗な髪を、背後から眺める分には、いい女なのに・・・。
「ふわああー。」
俺は大きな欠伸をして、両手を天井に向かって伸ばした。
「ふーん。」
そんな俺を見て、このガサツ女は両腕を組んで仁王立ちをしていた。
「な、なんだよ。」
珍しくジッと、こっちの顔を眺めている。
無論、俺は戸惑っている。
汗がジットリと、首筋を通過していた。
しかし直ぐに、そんな事は大した問題では無くなった。
(おっ、おう・・・・。)
なんとオレの目の前で、ジットリとしているモノがあるのである。
そんなモノをみて、俺はさらに冷や汗を垂らしているのあった。
相変わらず、この女は俺を見つめている。
でも俺は、女の顔よりも気になっているモノある。
オレの視線は、ガサツ女の顔の下だ。
ジットリと汗ばんでいる。
この女のシャツが汗ばんでいる。
「・・・・・。」
オレは言葉が出ない。
いや、そうゆう訳でもなかった。
「黒か。」
俺は口を滑らせてしまった。
しかし、そう言った次の瞬間・・・。
「うがっ!!」
ガサツ女の拳骨が、オレの脳天を直撃した。
「このスケベ!!」
女はプンプンと頭から怒りの蒸気を吹き出しながら、教室を出ていったのだった。
「いたた・・・。」
たぶんタンコブになったであろう頭を押さえながら、俺は涙目になっているのに気が付いた。
それにしても手加減というものを知らないのだろうか、あのガサツ女は・・・。
それでも、このダメージには、お釣りが返ってくる。
恐らく俺は今、机に、うつ伏せになってニヤけている事であろう。
(性格に似合わず、女らしい身体だな・・・。)
先ほどのガサツ女の、眺めを思い出しながら・・・・。
女の白いシャツから汗ばんで透けていた、黒い下着を・・・。