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第53話・なつがっしゅくっ!! その2

 「反省しなさいっ、反省を!!」

 「コルセア…流石に今のはアイナ様がおかわいそうだよ」

 「こうも本能を抑えきれないのでは、兵団に再度呼び出されることも遠くはないようだな」

 「別にアイナハッフェがどうなろうが知ったこっちゃないけど、女子に悪さするのは見過ごせねーぞ、俺は」


 サラウンドで叱られた。

 なんでよー、お嬢さまの艶やかな肢体を一番近くで眺めたいとゆー、全人類共通の願望を一番に果たしただけじゃないのー。


 「お黙りなさい。大体あなた人類じゃないでしょうに」

 『種族間差別だーっ!我々は愛ある待遇を要求するーっ!』

 「世界を滅ぼす力を持つとか言われてる紅竜に、愛ある待遇とか言われてもなあ」


 お嬢さまに突っ込まれるかと思ったらバナードに言われた。そういえば意外にツッコミ体質だったっけ。原作でもネアスが天然ボケかましたところにいろいろ合いの手入れてたなあ。


 「そうだな。コルセア、お前はもう少し自分の力の大きさを自覚しろ。先日もアイナと前伯爵に言われたのではなかったか?」

 『じーさまは細かいことなんか気にしないんです。お嬢さまはお説教の後しおらしくしてたら晩ごはんは豪華にしてくれました。割とチョロいです。あいたっ!』

 「あなたそんなこと考えてたんですのっ?!」


 四人に取り囲まれて犬座りしてるわたしの頭を、お嬢さまが遠慮無くどついてくださった。石頭のお陰でお嬢さまの方が痛そうだったけど、あなたそれ何度やったら学習するんですか。


 「………あの、みなさん。コルセアも大分反省しているみたいですし、それくらいで許してあげてはどうでしょうか?」


 そんな感じに主にお嬢さま、殿下、バナードの三人に代わる代わる叱られてたわたしだけど、それを見かねてかネアスは、相も変わらずわたしの女神っぷり(どっかの紐パンなんちゃらとは全然違う)を発揮してくれていた。


 「反省?どこをどう見れば反省しているように見えるんですの?」

 『反省っ!反省っ!わんわん!』

 「あ、あはは……」


 我ながらフォローのしようのない言動だったかもしれない。その点を「反省」してわたしはネアスの後ろに隠れ、せいぜい憐れっぽくお嬢さまを見上げてみた。


 『ちらっ』

 「ほ、ほら。こんなに悲しげにしてるじゃないですか」

 「……自分でちらっ、とか言ってのけるあざとさに絆されるわけがないでしょうに。まあでもいいでしょう。どうせ言っても無駄でしょうし、この辺にしておきますわ。殿下、バナード、よろしいですわね?」

 「アイナが良いのなら別に構わないが」

 「だな。ほっといたら課題も始められねーしな」


 そういうことになった。お嬢さまの柔肌を散々堪能した代償としては、安く済んだ。




 お説教タイムの後で、殿下やバナードが年頃の男の子っぽさを発揮して女子二人がきゃーきゃー騒ぐとゆー、わたしが経験したことのないせーしゅん劇場を見せつけられたんだけどそれはともかく(がっでむ!)。


 『それで何を始めるんですか?合宿と称して遊びにきたよーにしか見えないんですけど』


 今、桟橋にはボートが一艘繋がれている。

 四人乗るにはやや小さめだ。どちらかといえば公園とかにある手こぎボートの類に近い。ていうかオールも無いボートでこぎ出したらダメですよ?


 「遊びではありませんわ。まず、空を飛ぶという真似を対気物理学の応用で実証する実験です。コルセア、やりなさい」

 『はあ。これでいいですか?』

 「あなたが飛んでどうするんですか」


 いや、空を飛ぶことを実証する、て言うたのあなたじゃないですか。それで言われた通り飛んでみせて文句言うとか、もはやペット虐待ですよ?


 「だから、この小舟を飛ばせてみせなさい、と言ってるのです」

 『出来るわけないでしょーが。わたし、飛べるといっても自分の体しか出来ませんし。それともこの小舟持って飛べと?お嬢さまお一人のせて飛ぶのもひーこら言うってのに無茶言わないでください』

 「出来ないのかしら?」

 『だから、出来ませんてば』


 大体、自分で飛ぶだのなんだの出来るのは暗素界に自分の対となる存在を認識出来ているからであって、その暗素界にある小舟の対なる存在をわたしが認識出来ないのだから、飛ばすことなんか出来るわけがないのだ。

 …っていうことを説明したら、お嬢さまは膝から崩れ落ちた。体の前にある、ご立派なものがたゆんたゆんと揺れていた。


 「……あの、アイナ様?もしかしてコルセアになんとかさせて、それで課題達成、にしようとしてた……んですか?」


 ネアスが割ととんでもないことを言っていた。それだとウチのお嬢さま、実はすげーアホってことになるじゃない。


 「い、いえ。流石にそこまでは……ただ、その仕組みはコルセアに説明させようとは思っていましたけれど…」


 アホでした。

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