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57.叙勲式のパートナー



 一週間後。

 ホワイトナイツの本部の自分のデスクで事務をしていたアトラスの元に、ギルマスのエドワードがやってきた。


「アトラス。宮廷から正式に叙勲決定の連絡があった」


 その言葉に「おおッ」と沸き立つパーティ。


「ローレンス騎士団へ、第一等・ナイト・コマンダーでの入団が認められる」


 ローレンス騎士団は、功労者が入団を許される騎士団である。

 メンバーには第一等から第三等の序列があるが、最上級の第一等で入団すれば、準貴族であるナイト爵の称号を得る。

 二十代でナイト爵を得るのは異例中の異例であった。


「叙勲式は金曜日に行われる。パートナー同伴になるが、お付き合いしている女性がいなければ、家族かもしくは部下を連れて行っても構わない」


 そう言われて、アトラスはうーんと悩む。

 お付き合いしている女性はいない。そうなると誰を連れていくか悩ましい。


「パーティ当日までに決めてくれればそれでいいぞ」


 アトラスはうーんと悩みながら、ふとパーティメンバーのほうを振り返る。

 すると、真っ先にアニスと目が合った。


「……あ、いえ、その」


 なぜかアニスは挙動不審になる。


「どうかした?」


「いえ、本当になんにも……」


「(何か意味ありげな感じだけどなぁ……)」


 しかしアトラスは今パートナー選びのことで頭がいっぱいだったので、それ以上考えることをしなかった。


 アトラスは席に座り直し、考えを巡らせる。


 お付き合いしている人は当然いないので、選択肢は妹ちゃんか部下ということになる。


「(しかしなぁ……例えばアニスとかをパートナーとして連れていくのはさすがに気が引けるしなぁ……)」


 少し考え、チラッとアニスの方を見ると。

 するとなぜかまた視線が合ってしまった。

 アトラスは慌てて目をそらせる。


「(アニスも俺のパートナーなんてヤだろうし)」

 

 だが、そうなると選択肢は妹ちゃんだけになる。


「(うーん……。まぁ仕方がないか)」


 アトラスの中でとりあえず結論が出た。

 ――すると。


「あ、あの! 隊長!」


 アトラスのデスクに、アニスがやってくる。


「ど、どうかした?」


「えっと、その……わ、私、金曜日は暇です!!」


「ん、金曜日?」


 アトラスはアニスの言葉の意味がわからず、一瞬困惑する。


「……ああ、もしかして有給取りたいの? それなら全然いいよ」


 アトラスがそう言うと、アニスは「ち、ちがッ!」と咄嗟に反論するような口調で言った。

 だがすぐに口を紡ぐ。


「い、いえ。ちがくないです……休み取りたいです」


「もちろんだよ」


 アトラスがそう言うと、しかしアニスは頬を膨らませた。


「……?」


 アトラスは部下がなにやら怒っていることに困惑する。


「(お、俺なにかまずいことした?)」


 周りの部下たちは、女心を理解できないアトラスに対して、一つ溜息をついたのだった。


 †


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▼アメカワの新作です。本当におもしろいので、ぜひお読みください。▼

☆『ドM勇者は追放を悦ぶ。~ダメージを受けるほど強くなるマゾヒスティック勘違い無双~』
― 新着の感想 ―
[気になる点] 登場時アプローチかけてたと思ったけどイリアは参戦しないんだなぁ
[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★
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