10.FランクからSランクへ
――ダンジョンから戻ってきたアトラスと<ホワイト・ナイツ>のギルマス・エドワード。
エドワードとしては、あくまでアトラスの実力を測るためにAランクダンジョンに潜っただけだったが、アトラスが思いの外強く、あっという間にボスまで倒して攻略してしまった。
これまで数々の強者たちとともに戦ってきたエドワードだったが、アトラスの強さには驚きを隠せなかった。
ダンジョンから出て危険がなくなったところで、エドワードはアトラスに申し出る。
「アトラス君、ぜひ我がギルドにきてほしい」
「え、ほんとですか!?」
アトラスは予想外の結果に驚く。
<ホワイト・ナイツ>と言えば、王国公認ギルドの中でも最強のギルドだ。
妹に勧められて受けてみたものの、まさか受かるなんてこれっぽっちも思ってはいなかったのだ。
だが、驚くのはそれだけではなかった。
「もちろんSランクを保証する」
エドワードの言葉に、アトラスは唖然とする。
「え、Sランク!?」
SランクってあのSランクだよな!?
最高レベルの!?
弱小ギルドならいざ知らず、国内最高のギルドのSランクと言えば、生ける英雄たちの集まりだ。
その中に、自分が!?
アトラスには<ブラック・バインド>での自分に対する評価がこびりついていた。
だから最高のギルドから、最高の評価を得て採用されようとしている事実が信じられなかったのだ。
だが、さらにだめ押しとばかりにエドワードは提案する。
「Sランクパーティの隊長のポジションを約束する。採用祝いで金貨10枚。初年度賞与は金貨20枚+ダンジョン攻略で得た収入の10パーセントをインセンティブで支払う。勤務日数は最低週4回でいい」
それまでの<ブラック・バインド>での待遇を考えると、気が遠くなりそうなほどの高待遇だった。
「も、もちろん、お願いします」
アトラスは、そう言ってエドワードの申し出を受け入れた。
†
アトラスが自宅に帰ってくると、妹ちゃんが嬉々とした表情で出迎えてくる。
「お兄ちゃん、試験どうだった!?」
「……それが……<ホワイト・ナイツ>から内定もらえた」
アトラスはその事実をいまだに信じられないでいた。
しかし、妹ちゃんは兄にそれくらいの力があると確信していたから驚くことはなかった。
「やっぱりお兄ちゃんはすごい! よかったね、天下のホワイトSランクギルドにいけて! これでブラックギルドと完璧におさらばだね!」
妹ちゃんは興奮気味に言って、そのまま兄に抱きつく。
いつもなら「恥ずかしいよ……」とかそんなことを言うところだったが、今日のアトラスは放心状態で、妹を自分の体からひっぺがす余裕がなかった。
「自分でも信じられない……」
「もう準備できてるから! 今日はぱーっとお祝いしなきゃ!」
そう言って妹ちゃんは、豪勢な料理を用意してあるテーブルへと兄を引きずっていくのだった。
†
みなさまに、何卒お願いがあります。
・面白かった
・続きが気になる
と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いいたします。
評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップ・クリックすればできます。
面白くなければ、☆でも参考になります。
高評価でも低評価でもフィードバックをいただければ励みになります。
何卒、お願いします!!