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中枢4。


砂地を巻き上げ単車は走り抜けた。

華都と呼ばれる中枢の都心までは少し距離があるとヘルメットを被され、ダボっとした白のスウェットを掴み流れる景色を眺め行った。

縦横無尽に駆け巡れそうな砂地もビル群が近付いてくると、整備された信号機付きの道路へと変わっていく。混み合う自動車と溢れんばかりの人々と、大都会に相応しい景観だった。

駐車場に駐めると、エンジン音も残るような尻を摩りながら雪妃はコンクリートの地面へと降り立った。


「はええ…都会だねえ」


入り乱れるような人の流れに立ち尽くしてしまう。スーツ姿に色鮮やかな服装の若者たちに、まるで元の世界に戻ったかのような錯覚を覚えた。


「さて、どこから行きましょうかね」


帽子を被りなおしながら微笑む守ノ内に現実に引き戻される。

迷子防止です、と手を取られ流石に気恥ずかしい気もしたが、これだけ人が居れば一々他人の事など見ていられないだろうと思う事にした。のだけれども。


「きゃあ、守ノ内様よ」

「え、どこどこ?」

「守ノ内様来てるって」


(ですよね…)


遠慮なく集まる沢山の視線に雪妃は項垂れた。隣の男は呑気に微笑み小さく手を挙げ答えている。それが愛想笑いだと気付けるくらいには慣れてきたようだった。


「守ノ内さま、大人気ですね」

「ふふ。軍人は皆こんな感じですよ、物珍しいんでしょう」

「ほっほ、わたし刺されない?こんなのでくたばりたくないんだけど」

「まさか。そんな輩、返り討ちにしてやりますよ」


にこりとして手を引き人集りを抜けていく涼しい顔を横に、好奇の目を痛い程に感じながら足取りも重く進んで行った。


「あれですね、お嬢さんも疲れちゃうでしょうし、纏めて揃えられる所にしときましょうか」

「んん、デパートみたいな?」

「ええ、百貨店です。城の仕入れ先のひとつなので大体揃うと思いますよ」

「ほほう。それは有難い」


後をついてくるような大行列をちらと見て、雪妃はあちこち回るのは得策でないと肩を落とした。

華やかな店先が連なる中央通りを抜け、一際眩く聳え立つ高い建物の自動ドアを潜った。


「こんにちは、デンジュさんをお願いできます?」


総立ちになる案内所の綺麗なお姉様方へと告げて、守ノ内はにこりとしてみせた。

黒いスーツ姿のカチカチの黒髪の男が忙しなくも恭しく駆け込みお辞儀をするまでそう時間はかからなかった。


「守ノ内様、ご足労痛み入ります」

「どうも、色々と揃えてもらいたいんですが」

「畏まりました。こちらで伺います」


キビキビと前を歩いていくコンシェルジュへとついて、奥の部屋へと入っていった。

漸く静かになった、と雪妃はホッとしながら促されるままに高そうなソファへと腰を下ろした。


「買い物ひとつでこの騒ぎだと、大変そうだね」

「そうですね、祐なんかもう、外に出たがらないですもんね」

「ああ…何か分かる気がする」


運ばれるティーカップにお礼を言って角砂糖をトポトポと落とし込む雪妃に、守ノ内は苦笑を浮かべた。


「甘いのがお好きなんでしたかね、胸焼けしそうです」

「そう?紅茶だと控えめなんだけど」


西の地の城で頂いたものより赤く芳醇な香りがする紅茶だった。どろりと混ぜて口を付ける様子を楽しげに眺めて、デンジュに渡される紙に守ノ内は目を通した。


「着の身着のままでいらしてまして。必要そうなのを全部、お願いできます?」

「畏まりました。失礼ですがお嬢様の採寸をしても?」

「ええ。お任せします」


更に奥まった部屋へとスーツ姿の女に連れられて、上から下まで細やかにメジャーで測られる。橙色の濃い髪色を見ながら、その豊かな胸のプレートの名前を読み雪妃は目を丸くした。


「蜜柑さんっていうんだ」

「ええ、よく名で弄られます」


くすりと上品に笑む顔は涼やかな目元をしていた。オレンジ色の頭の蜜柑さん、覚えやすそうである。


「まさか守ノ内様が女性をお連れだなんて。浮いた噂もない方ですのに」

「そうなんだ?意外だな」

「あの見た目ですものね、憧れる女性は沢山おりますが恐れ多くてとても」

「ふうん。アイドルみたいなものなんだね」

「ええ。視察先の姫君の婚約話を蹴って帰ってしまわれて、降格騒ぎもあった程ですよ。優秀な方ですからね、どの国からも欲しがられるみたいで」

「ははあ…ただの呑気な兄ちゃんじゃないんだね」


勿体ない、と雪妃は苦笑する。

どこかの国王に君臨しても、呑気に散歩にでも出かけてフラフラしてそうだ。


「お嬢様は守ノ内様の恋人?」

「へ?い、いえ。何と言いますか」

「あら、お似合いですのに」

「ぶへえ…わたくしめも恐れ多く、存じます」


意気消沈するような雪妃を不思議そうに見上げて、蜜柑は結構ですとメジャーを首にかけなおした。


「お召し物はどのようにされます?」

「えっと、無難なのでお願いします。露出が多くなければ何でも」

「畏まりました。後は洗面用品と、お化粧はされないのです?」

「ああ…こっちだとこれくらいの若さからするものなの?」

「そのままでもお美しいですものね。少し乾燥してるかしら、美容部員もお呼びしましょう」

「へへ…頼んます」


質素な教会生活から至れり尽くせりの一変生活である。

目力の凄い美容部員にあれこれ塗り込まれて仕上げられ、にこにこと見守る守ノ内を鏡越しに見遣った。


「あのう…本当に、最低限でいいんで」

「まあ、守ノ内様のお連れの方にそのような真似はできませんわ」

「さいですか、もう、お任せ致す」

「お任せくださいませ。こちらが夏の新色でしてね、それはもう色艶やかで」


営業トーク凄まじい美容部員の良い匂いに包まれながら、雪妃は愛想笑いも程々に気の抜けた顔で身を任せた。



***



「お世話になりました」

「またの起こしをお待ち申し上げております」


出入り口までわざわざ見送りに出て深々と頭を下げる一同に、守ノ内の爽やかな微笑みが答えた。

ややぐったりとしている雪妃を首を傾げ見て、暗い空にふむと唸った。


「お食事でもと思ったんですが、一雨きそうですね」

「お食事…おなか、すいた」

「ふふ。では行きましょうか」


すれ違う人々の視線はもう気にせず歩く事にした。見られる立場の人というものは気苦労も多そうである。

あれ、とぴたりと立ち止まる守ノ内を雪妃は怪訝と見上げた。

行列のできる人気店なのか、カフェと看板の下がる小さな店先に小柄な白い軍服姿があった。

老若男女が長く並ぶ列は店へではなく、その白服へと伸びているようだった。


「もっちさんだ、あれはまた叱られちゃいますね」


守ノ内の苦笑はニカニカと笑い寄り添った人々と写真を撮っている姿へと向けられた。


「ほほう、写真撮影会か」

「軍服って事は業務中でしょうかね。まあ、巻き込まれる前に去りましょう」


愛くるしい人懐っこい笑みの白服を振り返りながら引かれるままに歩いていく。

そして、煉瓦造りの小洒落た飲食店へと辿り着いた。


「おう、坊ちゃん」

「こんにちは、奥空いてます?」

「おうよ、座んな」


ゴツい体付きの快活な笑みの店主だった。ぺこりとお辞儀して賑わう店内へと雪妃は続いて行った。


「元軍人さんのお店なんです。ここなら静かに過ごせるかと」

「へええ。見た目によらず洒落たお店だね」

「おうおう、そりゃあどうも」


カッカと笑う声共にやって来る店主はグラスと水の入ったボトルをテーブルに置いて相好を崩した。


「坊ちゃんが女の子連れてくる日が来るとは、オレも歳を取る訳だ」

「ふふ。海堂さんはまだまだ元気そうですね」

「当たりめえよ、一線は退けてもこっちでな」


ムキムキの上腕二頭筋を見せつけながら店主は高らかに笑った。


「いつもので良いか?」

「ええ。適当に、少なめにお願いしますよ」

「もっと食えよ、ガタイが良くなんねえぞ」

「重くて動けなくなったら困るじゃありませんか」


苦笑する守ノ内の背を煩く叩いて、海堂は厨房へと下がっていった。

賑やかな人だなあと眺める雪妃へと注いだグラスを渡して、守ノ内は肩を竦めてみせた。


「ちなみに祐の義父です、楽しい人ですよね」

「ほええ、あの筋肉は遺伝…って、義理のなんだ」

「ええ。私たちは先の戦争の孤児でしてね。拾われた軍の要人の養子として受け入れてもらえて。そこからの幼馴染みたいなものなんですよ」

「そう、なんだ」

「祐のあの暑苦しい筋肉も海堂さんの賜物ですかね、遺伝といっても過言ではないかと」

「へええ、戦争か…」


にこりとする向かいの顔に少し胸が痛む。平和な時代に生まれ、戦争なんて過去か他国の話でしかなかった。

ひねくれずに、失敬なのには目を瞑るとしても、真っ直ぐ立派に育て上げた義父の存在は大きかっただろうな、と雫のついたグラスをそっと撫でた。


「勝永のお父さんも軍にいるの?」

「ええ。そのうち嫌でも顔を合わせると思うので、その時にでも」

「ほうほう、きっとのんびりした人なんだろね」


返ってくるのは苦笑のみだったが、雪妃は似たような能天気そうな優男を思い浮かべて笑みを溢した。

軈て運ばれてくる肉ばかりの料理に目を奪われてしまう。蛋白質もりもりだ。それでもパンとスープばかりだったので雪妃の目も輝いた。


「肉、ニクだ…」

「お嬢さん、好き嫌いとかないです?」

「ないよ、何でも美味しく頂くよ」

「それは良かった。好きなだけ食べてくださいね」

「やったあ、いただきます」


ナイフを入れると肉汁あふれる塊をぱくりと頬張って、広がる濃い味付けに涙も滲みそうだった。味がある。素晴らしい世界。

良い食べっぷりを微笑んで見ながら、守ノ内もナイフを入れてふと口を開いた。


「そういえば、試験どうするんです?」

「う…そうだ、どうしよう」

「恐らく簡単な筆記と身体測定だけですからね。受けてくださいよ」

「ううん…従軍でしょ?わたし足手纏いになるだけじゃん」

「そんな事は。私のやる気に繋がります」


少食なのかあまり手の進まない守ノ内を、雪妃は白米の甘さに感動しつつも胡乱げに見遣った。


「それなんだけどさ、お友だちからにしようよ。色々知ってからの方が絶対、勝永の為になるよ」

「そうです?では、婚姻を前提にお友だちから、ですかね」

「ぶえ、それは前提なんだ」

「勿論、私はお嬢さんに添い遂げると決めてますから」


にこりとする顔には渋面を作るしかない。

次々と運ばれてくる肉料理に苦笑して止める守ノ内は、水を口に含みながらおやと眉を上げる。


「もっと賑やかなのが来ちゃいました」

「ん?」


フォークを咥えたままで視線を追うと、先程の愛くるしいのがトテトテと駆け込んできた。


「もおお勝永ぁ!何で置いてくの?酷くない?」

「お忙しそうだったので。それにもっちさん、お仕事中ですよね」

「うんー!華都の警備舎にあれをさあ。あれ?え?やだ、勝永ったら」


守ノ内へと抱きつきながらはたと望月は肉を頬張る雪妃に目を瞬かせた。

ドーモともごもごしながら会釈をして、咀嚼した塊肉を嚥下する。


「えー?!いやさ、女の子連れてるなあとは思ってたよ?珍しいなというか初めて?やだあ、勝永、誰?何てコ?可愛いね、狡くない?うわぁん」


(わあ、確かにもっと賑やかだあ)


ぐいぐいと守ノ内の横へと座り込みながら頬杖をついてニコニコと見上げてくる童顔に、雪妃はハハと乾いた笑いを溢した。


「西の地の視察で色々あって、お連れしたお嬢さんですよ」

「へええ!シスターなの?そうだよね、従順そうだもん。えええ?お連れしたって何?何なの?ボクもお連れしたぁい」

「ふふ。私のです、お手は触れぬよう」

「がーん!狡い狡い!勝永独り占め?狡いぃぃやだやだ!ボクもシスターが良いんだからぁ」

「あのう…元シスターといいますか、元々半人前シスターだったといいますか」

「あっ、喋った!可愛いぃ!ちょっと訛りあるね?良いなあ勝永、本当に狡いんだからぁ。ボクね、望月諸親、もっちって呼んでねえ」

「もっち、もちもち…」

「そう、モチモチのもっちだよぉ!おねえさんは?女神?天使?聖母さま?」

「おう…激しいな。雪妃だよ、残念ながら天の御使いではござらぬ」

「ユキヒちゃん!ふおお、テンション上がるうぅ!甘いの好き?今度一緒にスイーツ巡りしよ?ボク良いお店いっぱい知ってるんだあ」

「むむ、スイーツ巡りとは甘美な響き」

「でしょでしょ?甘いもの食べ尽くしてさあ、ボクも外泊許可取ってくるし、甘い夜もまた…むぐぅ」

「ふふ。もっちさん、いけませんね」

「ふぐぅ…やだあ勝永、いつものノリでつい、ついだよ?斬らないでえぇ」


柔らかな頬をギリと押しつぶしてくる指に、望月は慌てて守ノ内の胸元へと縋った。苦笑する守ノ内をぽかんと見て、雪妃は取り敢えず目の前のご馳走へと戻る事にした。


「煩くてすみません。悪い人ではないんですが少々、手癖が悪くって」

「きゃーやだ勝永、照れるぅ」

「もっちさんは早く戻ってくださいよ、デートの邪魔ですよ」

「ふええ、やだやだ!ボクもデートするぅ」

「また業務中に遊んでと、叱られちゃいますよ」

「ふふん、そんなの構わないしい。あ、でも今日祐居るんだっけ?やばーい、ピリピリして待ち構えてるかなあ。こわあい」


ぞわりと丸っこい体を震わせて、望月は渋々と椅子を降りた。


「ユキヒちゃん、またねえ。スイーツ巡りしようね?絶対だよ?」

「ははあ、ご相伴にあずかりたく候」

「おや、私も行きますからね」

「ええー?勝永甘いの苦手でしょ?いつも付き合ってくれないじゃあん!無理しなくてもお」

「そうですが、ふたりきりにはさせられませんからね」

「ううーっ、いいもーん!生クリームたあっぷり口に詰めてやるうう」


来た時のように騒がしく去っていく小柄な姿を雪妃は目を瞬かせて見遣った。

やれやれと守ノ内も苦笑する。


「あんな感じなので、お嬢さんには共に来て頂きたいという訳なんです」

「何とも嵐のようだね、ちっちゃいのに」

「ふふ。それでね、試験の話なんですが。受けてもらえます?」

「ううん…あちこち行けるのなら大歓迎なんだけど、わたし何するの?」

「恐らくは記録係ですかね。現地の様子をまとめてもらったり、皆の発言を記したりと」

「ほほう、それくらいなら出来そうかな?」

「ええ。気楽にやってください」


大方平らげて満足げな雪妃へと微笑む。

思っていたのよりは確かに気楽そうだなあと、雪妃も水を飲みながら気持ちは前向きになっていった。


「煩えのは帰ったか、あいつまた遊び回りやがって」


空いた皿を片付けて、コーヒーを運んできてくれた海堂は苦い顔で笑う。

添えられたアイスクリームに雪妃の目が再び輝いた。


「旨そうに食ってくれて、作りがいもあるな嬢ちゃん」

「大変美味しかったです、それはもう」

「ハハ、また来いよ。んでおめえらデキてんのか?」

「うぐ。そ、それは」

「ええ。私の婚約者ですよ」

「勝永殿…その前の前置きを、お忘れでごわすか」

「へえ、坊ちゃんが婚約ねえ。オレ泣いちまいそうだわ、式の日取りが決まったらまた教えてくれよ」

「ふふ。その日が待ち遠しいですね」


うぐうと詰まりながらもアイスクリームを掬う手の止まらない雪妃へと、守ノ内はにこりとしてその頬に触れた。


「愛してますよ、お嬢さん」

「ぶふ…」

「カッカ!お熱いこって、羨ましいねえ」


ごゆっくり、と行ってしまう海堂の逞しい後姿を見送るしかなかった。恨めしそうに守ノ内を見遣って、名残惜しくも最後のバニラのひと口を頬張った。


「さて、雨が降る前に帰ります?それとも行きたい所がありますか」

「また来れるよね?色々見て回りたかったけど、あの感じだと大変そうだし」

「ええ。また来ましょう」


御馳走様、と海堂に声を掛けて守ノ内は立ち上がる。百貨店でもそうだったが、支払いをする素振りが少しもなかった。後で領収書でも屋敷に届くのかな、と雪妃も挨拶して煉瓦造りの店を出た。


「守ノ内中佐、非番ですか」


白の軍服とは違う薄藍色の制服を着込んだ男が敬礼した。警察官のようだった。


「ご苦労様です、どうかしました?」

「怪しい奴がいると通報がありまして、追っていたのですが…黒ずくめの背の高い奴で、見ませんでした?」

「怪しいのですか。さて、今店を出た所なので」

「そうですよね。申し訳ありません、お休みの所」

「いえ、見つかると良いですね」

「怪しいのって、ああいうの?」


久しぶりに腹一杯食べたなあと曇り空へと大きく伸びをした雪妃は、ビルの上で立ち尽くす三つの影を二度見しつつ指差した。


「登る人、他にもいるもんだね…」

「ふふ。見晴らしが良いですもんね」

「はああ!ご協力感謝します、失礼します」


無線で何やら叫びながら慌てて駆け出す巡査を、守ノ内は苦笑と共に見送った。


「怪しいのも居るみたいだし、帰りましょうかね」

「お休みだから手伝わないの?」

「いえ、管轄外なんですよ。街の平和は彼らが守ってくれてますからね」

「ふうん?そっか、場所が決まってるんだねえ」


ビルの上は遠く顔まで見えないが、あんな所に登る奴はきっとろくなもんじゃない。すぐ登りたくなる者同士近いものを感じたり感じなかったり。取り敢えずこの都会で登るのは通報されるようなので控えようと雪妃は心に決めた。


「どうしたの勝永、知り合いだった?」

「いえ、行きましょうか」


小さく振る守ノ内の手は誰に向けてなのか。ビルの上の影ではなく街中に友だちでも居たのかもしれない。微笑んだ顔へと首を捻って歩き出した。

中央通りを縫うように抜けて駐車場へ。

単車はエンジン音も高く、城郭へと向けて駆け抜けていった。


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